サイドブレーキのかけ方が甘いなどの理由で車が動き出す「自然発車」が原因の死亡事故が4月以降、愛知県内で3件相次いだ。ドライバーが車を止めようとするなどして巻き込まれたとみられる。県内の乗用車保有台数は、全国1位の420万台超(昨年6月現在)とハンドルを握る人が多く、県警は確実にブレーキをかけ、車が動き出しても止めようとしないよう呼びかけている。
「車の底に引っかかるように倒れていた」。今月4日午後2時20分頃、同県長久手市の福祉施設の敷地内で、入所者の女性(70)が乗用車の下敷きになっているのを職員が見つけた。女性は脳挫傷や骨盤骨折を負い、搬送先の病院で死亡した。
ドライブレコーダーの映像から、女性が降りた直後に斜面に止めた車が後退するのが確認された。女性は車を止めようとして転倒し、約20メートル引きずられたと推定されている。ギアはニュートラルでサイドブレーキの利きが甘かったとみられる。
4月には名古屋市緑区の住宅街で、一時停車した後に坂道を下りだしたとみられる乗用車と住宅の石垣の間に、運転してきた女性(61)が挟まれて死亡した。ギアはドライブに入り、サイドブレーキも十分にかかっていなかったという。
岡崎市でも6月に、自宅近くの土手下で後部がつぶれた車の隣に倒れていた女性(79)の死亡が確認された。県警は女性が降車後、動き出した車に何らかの形で巻き込まれ、約4メートルの高さから、落下した可能性が高いとみて調べている。
「交通事故総合分析センター」(東京都)によると、自然発車が原因の死亡事故は、2019年までの10年間に全国で175件発生。愛知県内でも11年以降、43件の人身事故が起き、死亡事故も13件に上った。いずれもドライバーが亡くなった。車の重量は軽乗用車で1トン、普通車で2トンに及ぶこともあり、人の力で止めるのは不可能だ。
県警交通総務課の渡辺教義次長は「わずかな時間の停車でもギアはパーキングに入れ、サイドブレーキをしっかりかけることが重要。仮に車が動き出してしまっても、慌てず大声で周囲に注意を呼びかけ、決して自分で止めようとしてはいけない」と話している。
女性が車の底に引っかかるように…「自然発車」原因の死亡事故増加、「止めようとしないで」 - 読売新聞
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