フィリピンや台湾などの亜熱帯に生息し、近年は本州の各地で目撃例が相次いでいるチョウ「クロマダラソテツシジミ」を、「日野の自然を守る会」幹事の森川正昭さん(73)が日野市内の自宅で採集した。愛好家によると、多摩地域で見つかるのは極めて珍しい。(宮本隆康)
クロマダラソテツシジミは一九九二年、沖縄本島で国内で初めて確認された。二〇〇〇年代になると、九州や関西、中部地方でも見つかった。地球温暖化や都市部のヒートアイランド現象で気温が上昇した影響とみられている。
「日野の自然を守る会」で昆虫観察会などを担当している森川さんによると、十三日午前に自宅の玄関先で花の近くを飛んでいる二センチ程度のチョウに気付いた。最初は別の種類のシジミチョウと思ったが、羽の裏側の色が異なるため採集して調べたところ、クロマダラソテツシジミと気付いた。
チョウの分布に詳しい日本鱗翅(りんし)学会員の倉地正さん(81)=羽村市=によると、都内では〇九年に島しょ部で確認され、数年前からは品川区や大田区など都心の沿岸部でも見つかっている。越冬はできないため、風に乗って飛んできたとみられる。町田市でも目撃情報はあったが、倉地さんは「多摩地域で公式に確認された例は聞いたことがない」という。
森川さんが採集後、幼虫のえさとなるソテツを近所で探したところ数カ所で確認したが、幼虫や他の成虫は見つからなかった。森川さんは「見つけたのはこの一匹だけ。どこから来たのか不思議でならない」と話している。
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