新年早々、宮崎県の高千穂町で世界農業遺産・日本農業遺産の認定地域合同シンポジウムに出席した。
世界農業遺産は、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域を、国連食糧農業機関(FAO)が認定する制度だ。総合地球環境学研究所がその制度設計に関わり、6年前に高千穂郷・椎葉山地域が選定された際もお手伝いをした経緯がある。日本農業遺産も、何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わり育まれた文化、景観などが相互に関連するシステムを認定する制度だ。宮崎県では昨年、日南市と田野・清武地域が選ばれている。どちらの遺産も将来に受け継がれるべき重要な農林水産業システムとして期待されており、シンポ翌日には、地元の五ケ瀬中等教育学校を訪問して生徒たちと暮らしや将来について話をした。
高千穂地域は急峻(きゅうしゅん)な霊峰がそびえる山地で、高千穂神社や天岩戸神社がある。人工林や照葉樹林、落葉樹林がほどよい割合で維持され、斜面には美しい棚田が広がる。聞けば、わずかな高低差を利用して数十キロ離れた奥地の水源から水路を引いて維持しているという。黒毛和牛の特産地でもあり、農業、畜産業、林業が調和よく組み合わされ、神楽や数々の神話にもとづく伝統文化の下に生き生きとした暮らしを営んでいる。
私は屋久島やコンゴ民主共和…
農業の原点に学ぼう 自然に従い、人々つなぐ労働 山極寿一さん - 朝日新聞デジタル
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