石川県羽咋市
「自然栽培は若者の呼び水になる」と、石川県のJAはくい経済部の粟木政明次長は確信する。JAは羽咋市と連携し自然栽培を学ぶ「のと里山農業塾」を開講。月1、2回、JA職員らが移住者に栽培方法を指導する。
きっかけは2010年、市内で開いた自然栽培の実践者の講演会に全国から約1000人が集まったこと。関心の高さを目の当たりにし、同年12月には塾生の募集を始めた。市も「自然栽培ができる」ことをPRした。
結果、直近5年で183人が移住。うち4分の1が自然栽培で就農した。その3割は、カメラマンや飲食店経営など、移住前の職業と農業を組み合わせて生計を立てる。
農業以外にも収入源がある人ほど定着率が高いためJAと市は、自然栽培以外のなりわいを持つよう移住者へ勧める。働き先の紹介などでも支援する。
東京から移住した清水研吾さん(44)は、塾の修了者らからなる「JAはくいのと里山自然栽培部会」で知り合った農家の下で働く。加えて経営する市内の飲食店「地球知足」で、自然栽培した大豆や野菜を提供。「理想実現と生活成立には複数の収入源が不可欠」と清水さん。
秋田県
秋田県は昨年、「半農半X」ツアーを始めた。八峰町で開くと旅行、自動車関連の企業などに務める20~40代の7人が県内外から参加した。約3週間、町内でテレワークしながら農業生産法人で出荷調製作業を体験し、参加者から好評だった。
県は「JAなど関係機関と連携し、移住希望者のニーズを探り、定着の仕組みづくりに生かしたい」(農山村振興課)としている。
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多様な担い手の確保がJAグループで課題となっている。そのような中、4月から始まる第29回JA全国大会決議の実践期間では、「半農半X」実践者も多様な担い手と位置付け、行政と連携しながら育成する方針を掲げた。新型コロナウイルス下の「田園回帰」志向を捉え、移住者らと農地維持を目指す。
自然栽培研修、「半農半X」ツアー 農村に人材を呼び込む…農業以外の収入源が鍵 - 日本農業新聞
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