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Saturday, January 28, 2023

世界自然遺産登録30年、白神山地の入山規制あるべき姿は?:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

 青森、秋田両県にまたがる白神山地国連教育科学文化機関ユネスコ)の世界自然遺産に登録されて、今年で30年。多様な生態系を保つため、入山規制が行われており、青森側は「届け出制」、秋田側は「原則入山禁止」と、両県で対応が異なる。近年、他の自然遺産では保護と利用の両立が時代の潮流で、秋田でも規制緩和を求める声が上がっている。

     ◇

 「東京には秋田と青森の区別がつかない人もいる。白神山地は全部、入山禁止だと思われているから、観光客が来ない。このままでは、山の魅力を知る人がいなくなる」

 昨年12月、仙台市ジャーナリスト佐藤昌明さん(67)は、秋田県藤里町で講演し、ガイド同伴を条件に、秋田側も入山規制を「届け出制」に緩和しようと提案した。ほとんど人の手が入っていない「核心地域」の価値を次世代に伝えていくためだとした。

 秋田白神ガイド協会の斎藤栄作美さん(73)は「以前は入山者が残すゴミに危機感があった。何らかの規制は必要だが、ガイドがいればマナー違反は防げる」と同調した。

 一方、同県能代市のネイチャーガイド佐々木昇さん(78)は「本物を見せたいなら(核心地域の外側の)緩衝地域まででも十分」。以前巡視員として核心地域に入り、魚釣りやたき火の痕跡を見たことがあるとし、入山禁止の継続を望んだ。

 その前日、同県八峰町で遺産地域の巡視員会議があり、「入山規制の考え方が青森と秋田で異なるのはどうか。将来的には統一を」との声が上がった。この状況に林野庁東北森林管理局は「様々な意見があり、合意が得られていない。引き続き検討課題」とする。

 こうした議論が起きているのは入山者減が背景にある。

 環境省によると、白神山地と周辺地域の入山者数は2005年度が約8万1千人。21年度は2万6700人と3分の1にまで減った。このうち藤里町の岳岱(だけだい)と小岳(こだけ)、八峰町の二ツ森の秋田県内3地点の合計は約3200人と低迷。白神人気が陰りを見せる。

 ジャーナリストの佐藤氏は21年、市民団体代表として、東北森林管理局と秋田県に入山規制見直しの要望書を出した。今年は能代、秋田、大館の3市でも講演会を開く。

 白神山地の遺産地域は1万6971ヘクタール。このうち、核心地域が1万139ヘクタール、緩衝地域が6832ヘクタール。すべて国有林だ。豊かな生態系が残され、これほどの広大なブナの原生林は世界的に珍しい。

 遺産登録のきっかけは、1980年代の道路建設だった。秋田の旧八森町(現・八峰町)と青森県西目屋村を結ぶ青秋林道の建設が始まり、住民の反対運動が起こった。林野庁は90年、白神山地を森林生態系保護地域に定め、林道計画は中止に。改めてブナ林の価値に注目が集まった。

 入山規制の方針は、環境省や林野庁などでつくる組織が定めた管理計画に盛り込まれている。法的拘束力はないが、遺産地域は全域が禁漁区に指定されており、魚釣りは禁止。国有林での山菜採りも森林法で規制されている。

 では、管理方法が青森、秋田で分かれるのはなぜか。

 青森側は元々、自然と共存するマタギ文化を受け継ぎ、クマ狩りやアユ釣りを続ける住民がいた。核心地域を歩き、山の恵みに親しんできた山男たちにとって入山規制は抵抗感が強かった。結局、国などは27の指定ルートに限って入山を認めた。

 一方、秋田側は山が深く、住民の利用が少なかった。「どうしても山に入らせてくれ」といった反発も顕在化せず、現在学術研究などの理由がないと許可が出ない。

 ほかの地域では、どうか。山形県新潟県にまたがる朝日連峰は、登山客や釣り客が多かった。当初は入山を厳しく規制する案も検討されたが、林野庁は議論の末、生態系に悪影響を及ぼさない範囲なら、釣りや沢登りを容認するとした。森林での植物採取やたき火はしないなどの条件は付けたが、具体的な入山規制はしなかった。

 佐藤氏は「山は閉じるのではなく、開いて、みんなで育てていくことが大事だ。保護と利用の両立を図れば、地域活性化の道はある」と議論を呼びかける。佐藤仁彦

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