【テンピ(米アリゾナ州)24日(日本時間25日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(28)が、開幕前最後の調整登板を終え、開幕投手を務める30日(同31日)のアスレチックス戦へ向けて準備を整えた。

WBC決勝から中2日でダイヤモンドバックス傘下マイナー戦に先発し、4回2/3を4安打1失点。1本塁打を浴びたが、無四球、8奪三振をマークした。WBC優勝を経験し、さらに欲が増したエンゼルスでのワールドシリーズ制覇。たっぷり睡眠時間を確保し、万全の状態を整える。

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大谷に同僚から祝福の声が続いた。侍ジャパンの縦じまから、慣れ親しんだ赤いユニホームに戻った。「みんなに『おめでとう』と言ってもらって、すごいうれしかった」。激闘を終えたのは3日前。WBC優勝を経験し、ある“欲”が強くなった。「エンゼルスで今年、ワールドシリーズに出て、そこで勝ちたいなと改めて思いました」。

イタリア代表のフレッチャー、メキシコ代表の左腕サンドバル、米国代表のトラウトら同僚と次々にWBCで対決した。戦いを経て、さらに強くなった同僚との絆。負けられない戦いを、仲間と一緒にプレーする楽しさも感じた。「これぞ野球だなという雰囲気を味わいましたし、短期決戦で投げたいという欲は自然と高まる」。今オフにはフリーエージェント(FA)となるため、最後となる可能性もあるエ軍での1年。「久々にみんなの顔を見て、このチームでも優勝したい」と気持ちが高鳴った。

前日23日にキャンプ地で再始動してから2日目。ここ数日の過ごし方は「寝ました。リカバリーが一番なので、今日も帰って寝ます。野手としては(開幕前の3試合を)DHで出ると思いますけど、それ以外の時間は極力、リカバリーに充てたい」と明かした。二刀流のエネルギー源はたっぷり睡眠。「疲労というよりは、睡眠の時間帯がズレて、だるさみたいな感じ。あと1週間くらいで十分治ると思う」と、よく寝て、まずは万全の状態を整える。

2年連続で任される開幕マウンド。WBCで、印象に残ったことがある。「中国戦(1次ラウンド開幕戦)の1球目、投げる前の静かな感じは、うれしさと気持ち悪さと、どっちもあったので。あれだけお客さんが入って静かなのは、ちょっと不思議な感じはしました」。シーズンでも毎年、開幕戦は特別。最後の調整登板ではピッチクロックなどの確認作業を行った。「しっかり投げられたんで、普段どおり、僕は行ける状態」。すがすがしく、笑顔の大谷に不安はない。

○…楽天で活躍したアンドリュー・ジョーンズの息子ドリュー・ジョーンズ外野手(19)が相手チームの2番で出場した。第1打席は右前打をマークしたが、第2打席は空振り三振。5番打者に1発を浴びた大谷は「若いですけど、いいスイングをする選手たちも多かった。投げるボールうんぬんよりかは、ピッチコム(サイン伝達の電子機器)とか、ピッチクロック(投球間の時間配分)の確認をしたかったので、そこはあんまり気にせずに次に臨みたい」と振り返った。