貴重な動植物が多い長野県栄村で「村自然環境保護条例」が全面改正された。村が指定した地区内や種について、許可無く動植物を捕獲採取することを禁止し、違反者の氏名公表も盛り込んだ。村では昆虫マニアに人気のギフチョウが村外から来た人に捕獲され、標本がインターネット上で販売されるなど、希少な動植物の乱獲が懸念されている。【去石信一】
3月村議会で条例改正案が可決された。村では2020年から、希少動植物調査員2人が活動。国と県指定の絶滅危惧種が376種確認されたという。県内で確認されているチョウのうち村では8割の116種、トンボは7割の71種が見つかっている。
一方、村はギフチョウの生息地として全国的に知られ、捕虫網を手に村外から来たとみられる人がたびたび目撃されている。ギフチョウは環境省と長野県が絶滅危惧種に指定しているが、捕獲を規制する「指定希少野生動植物」や「特別希少野生動植物」には入っていない。捕獲は法的には問題ないため、公然と捕るケースがあり、強く制止もできない状態だった。ネット上では、栄村産とうたう標本が販売目的で出品される例もある。
条例では、対象となる地区や動植物などの種を指定した上で、村の許可を得ないで捕獲採取することを制限するほか、生育地を本や雑誌、ネット上で公表することも禁止している。鉱物なども適用対象となる。村は違反者の住所と氏名を公表できる。
村は今後、「村自然環境保護審議会」で、条例を適用する地区や種を検討。その結果に基づいて村長が決定する。指定が開発など経済行為とのあつれきを生じる可能性もあり、村教育委員会の広瀬忠一事務局長は「まずは村民に説明し、意見を聴いて生活に支障がないようにしなければならない。早ければ今年度中に指定したい」と話した。
村は新潟県境にあり、先行する同県魚沼市の条例を参考にした。従来の条例は主にゴルフ場などの乱開発を規制する内容だった。
希少動植物を守れ 村自然環境保護条例を全面改正 長野・栄 - 毎日新聞
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