都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。この道はどこにつながっているのだろう?また、どんな景色が広がっているのだろう?まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ。
横浜に「グランドキャニオン」!?
アメリカのアリゾナ州にあるグランドキャニオンはあまりにもよく知られる観光スポットだが、日本にも青森・白神山地の日本キャニオンや、「岐阜のグランドキャニオン」など、「キャニオン」と呼ばれているスポットが各地にある。
聞くところによると、どうやら横浜南部の栄区にも「グランドキャニオン」があるらしい。地図を確認すると、付近は鎌倉市との境になっており、緑地が広がっているようだ。豊かな自然と絶景を期待しつつ、足を運んでみた。
町歩きでルートファインディング
訪れたのは3月下旬。栄区の南部に向かう。起点となる桂台地区は鉄道駅から離れているが、JR根岸線港南台駅からバスでアクセスできる。
桂台中央バス停から、高台に広がる閑静な住宅地を通って南をめざし、圏央道の一部、横浜環状南線の工事を横目に、住宅地の最奥部にある階段に行きついた。ここに至るまで道標はないため、事前の情報収集と、町歩きのルートファインディング力が必要だ。
展望台と静かな谷戸。地域に愛される市民の森
階段を登り、ゴルフ場の脇にあるトレイルを西に進む。明るい尾根上からは鎌倉アルプスの大平山(おおひらやま)方面の眺めがよく、気持ちのよい道だ。
やがて分岐が現われる。直進は「散在ヶ池」とあり興味をそそられるところだが、ここを右の「荒井沢市民の森」方面へ進む。炭焼広場への分岐を過ぎれば、皆城山(みなしろやま)の展望台だ。
しばし展望を満喫し、展望台手前の分岐から階段状の急な道を下っていく。やがて、木道のある谷戸に降り立つ。付近一帯は荒井沢市民の森として、地域の人々の憩いの場になっている場所。こぢんまりとした谷戸には池や田んぼがあり、丁寧に手入れされていることがうかがえる。
横浜市内には「市民の森」と呼ばれる緑地や森が無数にあるが、ここ荒井沢市民の森は、その中でもなかなか簡単には行けない場所にあり、周囲を山に取り囲まれていることもあって、都市部のエアポケットのような隔絶感がある。
いよいよ「横浜のグランドキャニオン」と対面
谷戸を抜けいったん車道に出ると、特養ホームの裏に皆城山の断崖絶壁が現われる。さらに緩やかに進んでいくと、今度は右手にも断崖絶壁が目の前に。自然地形ではなく人工的に切り開かれた断崖で、グランドキャニオンといっていいのか定かではないが、なかなかの規模に圧倒される。
ちょっと足を延ばして大平山へ
非日常感を体感した後、距離的に意外と近そうな鎌倉アルプスまで足を延ばした。いったん桂台の住宅地に戻り、舗装路をさらに南下して、福祉センター翠風荘前へ。ここから天園(てんえん)まで登山道が延びているのだが、登り口の標高が高いので、天園までの最短ルートかもしれない。いきなりの急な階段さえ乗り切れば、後は快適な山道だ。
登り始めてから30分弱で、天園に到着。荒井沢市民の森の静けさに比べると、ここはもはや観光地。大平山はすぐなので、さらに少し足を延ばす。
帰路はここでは栄プールバス停に下ったが、大平山や天園からは六国見山(ろっこくけんざん)や鎌倉市街、はたまた横浜最高峰の大丸山(おおまるやま)方面など、多方面に道が延びている。ヤマタイム地図でルートを確認して、いろいろ計画してみてほしい。
MAP
参考コースタイム:桂台中央バス停~桂台登り口~皆城山展望台~荒井沢市民の森谷戸入り口~大股~桂台登り口~栄プールバス停~天園~大平山~栄プールバス停:約3時間10分
※荒井沢市民の森から散在ヶ池を通って大平山に向かう場合は、約3時間
町のすぐそばにある自然探索ハイキング。横浜南部の「グランドキャニオン」と谷戸を訪ねる - 株式会社 山と溪谷社
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