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Tuesday, June 15, 2021

ふるさとの自然と人のふれあい写真集に 群馬・甘楽町 - 朝日新聞デジタル

角津栄一

 生まれ育ったふるさと群馬県甘楽町の自然や住民の日々の暮らしを、約30年にわたり撮影した写真集を写真家、飯野文江さん(埼玉県上尾市在住)が出版した。「すばらしき里山 上州 甘楽」。廃校となった小学校の分校など町の歴史や、四季折々に表情を変える里山風景も収められている。

 甘楽町のかんらふるさと大使を務める飯野さんは、20代で結婚して埼玉県に移った。写真撮影に本格的に取り組み始めたのは、約30年前、交通事故に遭い重傷を負ったことがきっかけだ。30代後半を迎えていて、何か自分の人生の記録を残しておきたいと、カメラで家族の姿を撮り始めた。

 地元のアマチュア写真家クラブに入り、撮影技術や、見る人に撮影者の思いが伝わる作品づくりを学んだ。写真コンテストで上位入賞し、20年以上、地元で写真教室を主宰している。

 甘楽町の山あいの農家に何度も通い、質素だけれど心豊かな暮らしを丹念に切り取った。山道を少女と話をしながら歩くお年寄り、3世代にわたる住民の心温まる交流にレンズを向けた。

 思い出深い作品は、約20年前に廃校となった秋畑小学校の分校の子どもたちだ。冬には近くの河原に、保護者ら手作りのスケート場が姿を見せる。ある日、校長先生を先頭に子どもたちが一列になって滑る姿はほほえましく、今にも勢いよく羽ばたくように見えた。今も大切な記憶だ。

 「甘楽町にはまだまだ知らない魅力があり、一生通っても撮り切れないと思います。豊かな自然の風景も素晴らしいけれど、写真集を見て、情に厚く、やさしい人たちがいることを知ってほしい」と話している。

 B5変型判、定価2200円。問い合わせは、出版元の日本写真企画(東京都 03・3551・2643)。(角津栄一)

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