着飾って外出する機会がなくなって久しく、ハレの日のための豪華なジュエリーはますます出番がない。そんないま気になるのは、何げない日常にいろどりをそえるジュエリーではないだろうか。
「スハー」は、まさにそんなブランドだ。使われている素材は、デザイナー、伊藤陽子が日本中をめぐって見つけてきたもの。岩手のコハク、高知のサンゴのほか、鹿の角やマユ、キジの羽根、サザエのふたなどもジュエリーにしてしまう。
写真のピアスは、日本海に浮かぶ隠岐諸島で採れたアワビ貝を使用。フジツボや海藻が付着した貝殻を削り、ていねいに舟の形に磨いた印象的なデザインだ。
また、陶器を手がける土肥(どひ)牧子が立ち上げたのは、鉱物のありのままの姿を生かしたジュエリーブランド「ジーナ・クワン」。薄くカットしたアゲート(メノウ)の原石をあしらったブレスレットは、結晶のしま模様が残る原石と、モダンな造形のメタル部分との対比が鮮やか。原石の研磨などは、かつては水晶の産地だった甲府市の職人たちの手によるという。
どちらのブランドも、高価な貴石やダイヤは使わない。だが、自然の美しさを残したそのデザインは、私たちをリラックスさせ、心地よくしてくれる。
自粛が続くいまは、自分を人に見せるための「外向きのジュエリー」よりも、自分が元気になるための「内向きのジュエリー」の方が、魅力的にきらめいて見える。
(ジュエリー・時計ジャーナリスト 本間恵子)
〈jewelry〉自然生かした美 自分を元気に - 朝日新聞社
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