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Thursday, November 4, 2021

なき名店のエスプリ受け継ぐ 街と自然に溶け込むカフェ「ha ra」 - 朝日新聞デジタル

河原町通に面したガラス張りのファサードからのぞくのは、おしゃべりを楽しむ人々、一人本を読む人、窓の外をぼんやり眺める人……。たくさんの人でにぎわいつつも、訪れた人がそれぞれのペースで時を過ごしているカフェ「ha ra」が、今回の散歩の行き先です。居心地の良さの秘密は、入り口から奥へと、すっと風が通り抜けるような空間にありました。

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。

河原町通から鴨川へ 自然の気配を感じる空間

ヴィンテージ家具が好きな店主の原さんが一脚ずつ集めた椅子。右の照明は「efish」から受け継いだもの
ヴィンテージ家具が好きな店主の原こころさんが一脚ずつ集めた椅子。右の照明は「efish」から受け継いだもの

京都のカフェの先駆けとして、河原町五条の鴨川べりで20年間愛されてきた「efish(エフィッシュ)」が惜しまれつつ閉店したのは2019年のこと。「ha ra(ハラ)」はその「efish」で最後の店長を務めた、原こころさんがオープンしたカフェです。ガラス張りの外観は、元電器屋だった物件のショーウィンドーの名残。河原町通の街路樹と行き交う人々が季節や街のムードを伝えるこのカフェは、厨房(ちゅうぼう)の奥にもう一つ窓があります。

客席からカウンター越しに、厨房の奥の窓のグリーンが見える
客席からカウンター越しに、厨房の奥の窓のグリーンが見える

「(鴨川沿いに開けた窓がある)『efish』で働いた経験から、環境の良さが、働く人やお客さまにすごくいい作用をもたらすことを実感していたんです。だから、自分の店を持つなら自然を感じられる場所で、と決めていました。ここは鴨川に面してはいないですが、すぐそばに下鴨神社や鴨川デルタがあります。入り口から店の奥へと心地よい空気が流れるように、厨房の奥にも窓を作ってもらったんです」(原さん)

河原町通に面した外観はガラス張り。通りを行き交う人や街並みを眺める時間も心地よい
河原町通に面した外観はガラス張り。通りを行き交う人や街並みを眺める時間も心地よい

奥の窓の向こうには坪庭の緑が。さらにその先には、ちらりと鴨川の木々も見えます。通りから鴨川へ、風の通り道のように配された窓が、街なかのカフェにして自然の気配を感じられる理由。その心地よさに吸い寄せられるように、「ha ra」には朝10時のオープンから次々と人が訪れます。

20年愛された店で得た出会いと学びを、この場所で

「BLTサンドイッチ」(902円、税込み)
「BLTサンドイッチ」(902円、税込み)

「ha ra」の自慢は、鉄板で香ばしい焼き目を付けたパンのサンドイッチ。カリカリに焼き上げたベーコンの脂を吸わせるように、パンにもこんがり焼き色をつけ、自家製マヨネーズとフレッシュな野菜を挟んで仕上げます。焼き目はサクッと、生地はもっちりしっとりとしたパンと、ボリュームたっぷりの具材のコンビは満足感抜群。片手で食べられるので、読書や書きもののおともにも最適です。

なき名店のエスプリ受け継ぐ 街と自然に溶け込むカフェ「ha ra」
鉄板で焼き上げると、ベーコンのフチはカリカリに、パンは生地のしっとり感を逃さず香ばしく焼き上がる

一杯ずつハンドドリップでいれるコーヒーは、大徳寺東の喫茶店「珈琲(コーヒー)山居(さんきょ)」が焙煎(ばいせん)する「東ティモール」。コク深く、まろやかで余韻のある味わいは、サンドイッチはもちろん焼き菓子にもよく合います。持ち帰りもできる焼き菓子は、「efish」時代の同僚で京都を拠点に菓子作家として活動する「HORNO(オルノ)」のもの。軽やかさと季節感を取り入れた、シンプルで滋味深い味わいに定評があります。

「HORNO ヴィクトリアケーキ」(682円)、コーヒー(550円)。いずれも税込み
「HORNO ヴィクトリアケーキ」(682円)、コーヒー(550円)。いずれも税込み
「HORNO」の焼き菓子は持ち帰り用も販売。マフィンやスコーンなどが並ぶ
「HORNO」の焼き菓子は持ち帰り用も販売。マフィンやスコーンなどが並ぶ

「什器(じゅうき)を譲り受けたり、独立してそれぞれの分野で活躍している仲間から協力してもらったり、『efish』で得たものは大きいです。閉店するとき、『学生の時にデートで来たよ』などと言ってもらえて、カフェが誰かの思い出になることができるんだと気付かされました。『ha ra』も、ここに来たらほっとする、心落ち着ける場所になっていけたら」(原さん)

店主の原こころさん。「efish」で約8年働いた後、昨年「ha ra」をオープンした
店主の原こころさん。「efish」で約8年働いた後、昨年「ha ra」をオープンした

コロナ禍でのオープン後1年を経て、早くも「ha ra」は京都の人々の居場所になりつつあります。「efish」の遺伝子を受け継ぎつつも、街と自然とをつなぐような居心地のよさ、ヴィンテージの什器や作家のうつわが調和し紡ぎ出すムード、丁寧ながらもカジュアルで気取りのないメニューは、原さんの豊かな感性と朗らかな人柄そのもの。おなかだけでなく心を満たし、街の止まり木となり、いつしかそこで過ごす時間が思い出になる。「ha ra」の物語はまだ始まったばかりです。

遅めの朝食からランチ、カフェタイムまで絶え間なくにぎわう様子が見られ、通りかかるとつい寄りたくなる
遅めの朝食からランチ、カフェタイムまで絶え間なくにぎわう様子が見られ、通りかかるとつい寄りたくなる

■ha ra
https://www.instagram.com/ha_ra_kyoto

BOOK

なき名店のエスプリ受け継ぐ 街と自然に溶け込むカフェ「ha ra」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が2019年6月7日に出版されました。&Travelの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

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