
十一月ともなると、会津地方の豪雪地帯では冬支度に追われる。とりわけ、雪の重みから家屋を守る「雪囲い」は手抜きが許されない。頑丈に造ることが求められるため、住民は工夫を凝らしてきた▼数メートルもの積雪に見舞われる只見川流域では「冬垣」とも呼ばれる。家を囲った程度では通用しないからという。「まさしく文字通りの垣、柵を築き、家屋を幾重にも巻いて保全しなければ雪の重圧に屈してしまうことになる」。角田伊一著「奥只見・只見川を歩く」(歴史春秋社)はそう記す▼近年は合成樹脂製の軽量の波板なども盛んに活用され、設置作業も楽になった。だが、角材や木の板、刈り取ったカヤなどを組み合わせ、建物の外壁に固定するという方法は、昔からそれほど変わらない。時代が移っても、過酷な暮らしの中で編みだされた方法が、いかに優れているかを証明しているのかもしれない▼仙台管区気象台の三カ月予報によると、日本海側の降雪量は「ほぼ平年並み」という。だからといって、対策をしなかったり、簡単に済ませたりは決してしないだろう。雪国に生きる人々は、自然の猛威が甘いものではないことを身をもって知っている。
雪囲いと自然(11月2日)(福島民報) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
Read More
No comments:
Post a Comment