
松浦和夫
理科の教員として自然環境保全に長年取り組んだ滋賀県長浜市の村上宣雄さんの遺志を継ぎ、家族が地域情報紙に連載していた村上さんの記事を1冊の本にまとめて出版した。話題は地域での自然観察会やビオトープづくり、地元で一時持ち上がった核の廃棄物処分場問題など多岐に及ぶ。身近な自然にもっと関わりを持つことの大切さを訴えている。
本は「やさしいネイチャーウォッチング―自然を守り育てる仲間づくり」(サンライズ出版)。
村上さんは中学校の理科教員として38年間勤務した。滋賀の理科教材研究委員会の代表などを務め、同僚らとともに子どもたちに滋賀の自然を理解してもらおうと、魚や水草、水生動物などの図録ハンドブックを発行。ビオトープづくりやオオサンショウウオの保全活動などにも力を入れた。
本のもとになったのは、地域情報紙「長浜み~な」で1999年から21年間にわたって執筆した「やさしいネイチャーウォッチング」。連載は78回にのぼる。
村上さんは西浅井中学校校長を最後に退職し、間質性肺炎と診断されながらも精力的に執筆と保全活動を続けた。2019年1月、インフルエンザにかかって体調が悪化。その年の夏、サンライズ出版(滋賀県彦根市)に出版を依頼したものの、初校から数日たった20年2月29日に亡くなった。77歳だった。
出版は途絶えたが、21年夏、サンライズ出版側から妻の尚子さん(78)ら家族に連絡があった。予定通りに出版しないかとの打診だった。尚子さんや長男の悟さん(45)が原稿の再校や写真・図版の許諾などをして、2年越しの出版が実現した。
尚子さんは「(夫の宣雄さんは)壊れていく自然について、何とかしないといけないと思っていました。自然について関心を持ってもらい、自分ならどう動くのかを考えてもらいたいと思います」と話す。
A5判、216ページ。2640円(税込み)。購入希望者は書店のほか、尚子さん(0749・86・2347)へ。(松浦和夫)
家族が遺志継ぎ、自然保全活動に尽力した村上さんの著作出版 - 朝日新聞デジタル
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