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Wednesday, July 20, 2022

奄美・沖縄、幸せの贈り物 世界自然遺産登録から1年、記念シンポ:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

 奄美大島徳之島、沖縄島北部などが世界自然遺産に登録されて7月下旬で1年になるのを前に、シンポジウム「豊かな自然をつなぐ」が7日、東京・築地の浜離宮朝日ホールで開かれた。シンガー・ソングライターのイルカさんや研究者らが自然遺産の保護や活用について語り合った。(コーディネーターは石井徹・朝日新聞編集委員)

 ■特別対談 イルカさん(シンガー・ソングライター)、山極寿一さん(総合地球環境学研究所所長)

 特別対談では、シンガー・ソングライターのイルカさんと、総合地球環境学研究所所長の山極寿一さんが、世界自然遺産の楽しみ方や登録を機に期待することを語り合った。

 山極 沖縄・奄美の自然遺産は「よく見えない」がキーワード。知床ならヒグマ、屋久島ならサルなど代表的な動物が見える。沖縄も奄美も固有種がたくさんいるが、見えないんです。

 イルカ 12年前に夢に大きなヤンバルクイナが出てきた。ちょうど沖縄に行く話があってヤンバルクイナに会いに行きましたが、地元の皆さん「会えないですよ」って。ヤンバルクイナの保護区を3日間、車で案内していただいた。帰ろうと思ったら、畑の真ん中、私の目の前に赤い足の生き物がタタタタって横断したんです。一瞬でした。運命ですね。私は大感動してしまって「サンゴとジュゴンとヤンバルクイナ」という歌を作りました。

 山極 ふと見えた時は幸せだと思わなくちゃいけない。世界自然遺産をきっかけに「学びの島」になってほしい。自然だけが存続したのではなく、人もその一部として加わり、文化を涵養(かんよう)しながら、自然と共存してきた。外から行く人たちはそれを頭に入れながら、自然とも地元の人たちとも交流を楽しんでほしい。

 イルカ 地元の受け入れ側の皆さんは大変な責任を担っている。選ばれたことに誇りを感じて迎えていただけたら、もっと素晴らしくなるんじゃないかな。

 山極 日本に五つも世界自然遺産があることは誇っていい。日本は自然の多様性に満ちた国。その自然に寄り添ってきた文化があり、体で経験することができる。それを味わう幸せをぜひ感じていただきたい。

 イルカ 地球は一つの大きな生き物。私たち人間はもちろん、いろんな生き物が生きて、この地球が成り立っている。今回の登録が皆さまに考えていただくいい機会になってほしい。

 ■パネル討論

 パネル討論では、3人の専門家が自然遺産をどのように守り、生かしていけばよいのか議論を深めた。

 <地域文化との共存が課題 国立研究開発法人森林研究・整備機構理事長、中静透さん>

 私が関わってきた白神山地(1993年に世界自然遺産登録)では、温暖化の影響でブナに適した環境がなくなることや、最近増えたニホンジカにブナが食べられることが心配されている。また、マタギの文化や山菜・キノコ採りなどが禁止されており、伝統的な利用方法と保全とがぶつかりあっている。野生動物の管理や温暖化、地域の文化やエコツアーとの共存は他の世界遺産にも共通する問題点だ。奄美・沖縄もだが、遺産には複数の自治体が関わっている。どうやって統一的に管理していくかもいつも問題になっている。

 <旅や観光、価値を知る機会 文教大教授・海津ゆりえさん>

 奄美群島や、西表石垣国立公園でエコツーリズムに関わってきた。エコツーリズムは、資源を守ることと、観光を推進することが地域振興につながり、この三つを正三角形で表せる。

 行き過ぎた観光は駄目だが、どんなに価値があるものでも、そこに人が入らなければ、価値自体を知る機会も失われてしまう。旅や観光は、メッセンジャーの役割を果たしている。旅をする人たちも、外側にいる私たちも関わっていくことが、自然の保全と利用が両立する第一歩なんだろうと思う。

 <生態系回復へ、大事な一歩 世界自然保護基金ジャパン会長・末吉竹二郎さん>

 世界自然保護基金(WWF)の2020年の調査報告によると、生物多様性はこの50年間で68%が失われたという。とにかく減少に歯止めをかけよう、50年には昔の生態系を取り戻そうという動きになっている。自然遺産登録はゴールでなく大事なはじめの一歩となる。

 国連のグテーレス事務総長が言うように、21世紀最大の使命は「自然と人間の平和共存の回復」だ。それを果たすのは経済と金融。お金の流れを変えることで社会や経済を変え、気候変動や生物多様性の喪失の問題の解決を図る。その流れが世界で始まっている。

 ■暮らしと自然の近さ、評価 環境省自然環境計画課長・堀上勝さん

 奄美・沖縄は山の深いところまで人の手が入っていて、暮らしと世界遺産地域が近いという特徴がある。人々の生活と共に自然環境が残されてきたことが評価されたと思う。候補地となって18年、関係者のたゆまぬ努力で世界自然遺産に登録できたと考えている。登録がゴールではなく、これからスタートということで、世界遺産たりうる価値をしっかり引き継いでいくことが必要となっている。

<主催> 朝日新聞社

<共催> 鹿児島放送、沖縄タイムス社、琉球朝日放送

<協賛> 公益財団法人稲盛財団、公益財団法人イオン環境財団

<協力> 日本航空

<後援> 環境省、鹿児島県沖縄県、鹿児島大学、琉球大学、公益財団法人日本自然保護協会、公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパン

 ■アーカイブ動画、視聴できます

 このシンポジウムのアーカイブ動画は8月31日まで無料で視聴できます。http://t.asahi.com/amaoki別ウインドウで開きますから登録して下さい。

 ◇沖縄の写真は湊和雄さん、奄美は常田守さん、それ以外は岡田晃奈が撮影しました。

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