茨城県の土浦、つくば市境に広がる宍塚(ししつか)地区の里山の自然を次世代に残そうと、三十年以上にわたり保全活動を続けている認定NPO法人「宍塚の自然と歴史の会」が今月、古民家を改修して活動拠点とするためクラウドファンディング(CF)に乗り出した。「百年亭再生プロジェクト」と銘打ち、「持続可能な里山保全活動のシンボルに」と寄付を呼びかけている。(林容史)
宍塚の自然と歴史の会は一九八九年、都市近郊に残る自然に魅了された近隣住民で結成。里山の管理をはじめ、地域の文化や歴史の調査、生物観察会、子どもたちが里山で遊べる体験活動などを続けている。会員は現在、約四百人。
だがこれまで、参加者が荷物を置いたり、着替えをしたり、資料を展示したりするための施設はなく、プレハブ小屋や物置でしのいできた。
里山保全のために土地取得を進める中、居住者が亡くなり空き家になっていた平屋の民家を見つけ、二〇一九年に購入。築後かなりの年数が経過していることから「百年亭」と名付け、改修して活動拠点として活用することにした。昨年九月、本格的にプロジェクトが始動した。
会の理事長・森本信生さん(66)は、CFで寄付を募る目的を「資金調達のためだけでなく、会の活動やプロジェクトを広く知ってもらいたい」と説明する。
当面の目標額は三百万円。床面積約八十五平方メートルの基礎工事のほか、雨漏りの補修などの応急処置を施して「とりあえず使える状態」にする。最終的には計八百万円を確保し、トイレやシャワー、台所など水回りの新設、土壁の塗り直し、床板や畳の張り替え、建具の復元などを計画しているという。
森本さんは「地域の茶飲みどころ、子どもたちの遊び場、高齢者の癒やしの場になれば」と夢を語る。プロジェクトリーダーを務める会の顧問・佐々木哲美さん(70)は「里山保全の活動の輪が広がってほしい。里山文化を次の世代につなげたい」と力を込める。
CFはCFサイト「READYFOR」=「百年亭再生プロジェクト」で検索=で、十月二十一日まで受け付けている。
<宍塚の里山> 土浦市のため池「宍塚大池」(約3・5ヘクタール)を中心に広がる約200ヘクタールの雑木林の緑地。土浦、つくば両市の中心部からともに4キロほどで、農村の原風景とも呼べる景観、生物多様性に富む自然が保たれている。都市近郊に残る水辺のある里山は珍しい。丘陵地が浸食された谷状の地形の谷戸(やと)・谷津(やつ)が上空からは「大」の字に見えることから、大池と呼ばれる。
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