知床とOECM
知床が2005年に世界自然遺産に登録されたとき、半島沿岸の海域が定置網漁業や沿岸漁業の漁場だったことが問題になった。しかも、政府は、世界遺産登録のために法的規制を強化しないと地元の漁業協同組合に約束した。それでも、漁協自身がスケトウダラの自主的禁漁区を拡大することが評価され、無事に登録できた。これは法的規制以外の、漁業を主目的とする漁民の取り組みが理解を得たといえるだろう。
私個人の見解だが、これらを①「利用しない保護区」、②「保護と利用の調和を図る保護区」、③「利用と保護の調和を図るOECM」と整理したい。つまり、③は主目的が保護より利用である地域とみなすのがわかりやすい。環境省では②と③に該当するものを含めて「自然共生サイト」(仮称)とみなし、認証制度 を設けつつある。他省庁の法令などでも、「生物多様性に配慮した森林施業」という表現は以前からみられる。これもOECMとみなしえるだろう。知床も、上記の禁漁区は国立公園や世界遺産地域の外側であり、共同漁業権の範囲内は、当事者が申請してOECMとみなすべきだろう。ただし、生物多様性への配慮がOECMの主目的にとって有益でなければ、例えば農地の場合に自然保護への配慮が農業生産性を落とすなら、自然共生サイトの普及は進まないだろう。ではどんな相乗効果があり得るのか。相乗効果があるなら、上記のような政策誘導をせずとも、農業生産性向上のために自然に配慮したはずである。
利用と保全の調和を目指す「自然共生サイト」 - 論座
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