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Tuesday, April 11, 2023

奥大山にも誕生する作家・倉本聰の「自然塾」 天然水の里が伝える地球環境のいま - 産経ニュース

奥大山の景勝地「木谷沢渓流」のせせらぎ。自然塾では最初に同渓流を体験する=令和2年撮影

名水で知られる奥大山(鳥取県江府(こうふ)町)に5月、作家の倉本聰さんが主宰する「富良野自然塾」の分校が誕生する。江府町の豊かな自然を教室に、小学生から高齢者までが地球の歴史や成り立ちを「体感」し、町の財産である水の貴重さをはじめ地球環境について考えてもらう。拠点となるのは休業状態となっている町営スキー場。同塾を運営する町は、活性化の道筋を観光から環境に転換し、観光客増ならぬ交流人口や移住・定住の拡大を目指す。

奥大山自然塾の「教室」となる奥大山スキー場のゲレンデ=鳥取県江府町

「天然水」で一気に全国区

中国地方の最高峰・大山(1729メートル)の南側に位置する奥大山は平成20年、サントリーが南アルプス、阿蘇に続いて「天然水」商品を生産し売り出したことで全国的な知名度を得た。29年には歌手の宇多田ヒカルさんが出演したテレビコマーシャルの影響で、その舞台となった名水の地「木谷沢(きたにざわ)渓流」などを訪れる観光客が増加。同渓流の訪問者数は推定で28年の約千人から、CM放映後の30年には約5万人にまではねあがった。

「観光客増ももちろんだが、町として奥大山の水の力に気づかされたのは、ふるさと納税額の桁違いの伸びだった。奥大山の『天然水』はサントリーのほか町ブランドの製品もあるが、両方をふるさと納税の返礼品として前面に出したところ納税額が激増。人々の水に対する関心の高さを感じた」

白石祐治町長はこう語る。返礼品の一つだった天然水に焦点をあててアピールを始めたのは令和2年度の中ごろ。この効果で元年度に約1500万円だったふるさと納税額は4年度には約5億8000万円まで増加した。

一方で、町営奥大山スキー場は平成22年末に発生した雪崩事故を転機に経営が苦しくなり、近年は3シーズンにわたって休業に追い込まれている。

こうした変化を背景に、スキー場を活用する方法を模索していた町にもたらされたのが「富良野自然塾」の取り組みだった。町は事業実施を決め、職員を富良野に派遣して自然塾のノウハウを視察・研修して実施に備えた。

直径1メートルの地球の模型を使って行われる「1メートルの地球」のプログラム。水の貴重さなどを学ぶ(鳥取県江府町提供)

46億年を460メートルに凝縮

富良野自然塾が取り組んでいるのは、ゴルフ場跡地を元の森に戻す「自然返還事業」と、森を使った「環境教育事業」だ。奥大山の場合は、国立公園内に立地しているため森に戻すための植林が容易ではないことなどから、環境教育に力点を置く。

そのプログラムは、「緑の教室」「1メートルの地球」「46億年地球の道」の3本立て。木谷沢渓流と奥大山スキー場を教室に、約2時間かけて自然が発するメッセージを体感してもらう。

緑の教室では、森の役割などを説明し自然の中で生かされていることを実感。1メートルの地球では、直径1メートルの地球の模型を使って、マントルなど内部を含めた地球全体の中で海水や淡水の少なさを伝え、さらに飲用水の衝撃的な少なさを視覚などで学ぶ。

46億年地球の道は、地球の歴史を460メートルの道に置き換えて体感する。海の誕生は約40億年前、恐竜の出現は約2億5千年前とすると、460メートルの道のどのあたりかを示し、歴史を歩いて体感する。

同町地域プロジェクトマネージャー(SDGs担当)の光島(こうしま)宏美さんは「道を歩くと、人類の歴史はいかに短く、その短い時間でいかに地球に影響を与えたかがわかる。それを知ることで、今後の自分たちの行動で地球をよくすることができることに気づいてほしい」と、道に込めるメッセージを説明した。

奥大山自然塾の拠点となる建物「エバーランド奥大山」。左奥の森が木谷沢渓流=鳥取県江府町

「水と自然を守ることが使命」

富良野自然塾の分校は、京都府宮津市や愛媛県今治市、北九州市など全国各地に6カ所あり、奥大山は7番目となる。奥大山では、木谷沢渓流を歩くことからプログラムをスタートする。町は、開発の手が入らない同渓流の自然を体験することで、自然塾のメッセージのひとつ「自然の大切さ」がより鮮明になると考えている。

また、緑の教室の最初に「ハチドリのひとしずく」という南米の言い伝えを紹介し、環境問題に対する動機付けを行う。山火事の現場に一滴ずつ水を運ぶ体長7センチほどの小鳥の行動が環境を守る大きな結果につながることを示唆するストーリー。

富良野自然塾で最後に行われているゴルフ場跡地での植樹の代わりに、奥大山では、この言い伝えで「あなたのワンドロップ(ひとしずく)は何」と問いかけ、プログラムの最後に「気づいたワンドロップをコースターに書く」独自の取り組みを行う。

奥大山自然塾の開校は5月6日。プログラムの講師役となるインストラクターには町職員ら3人程度を予定し、環境問題に関心のある学校や一般の受講のほか、SDGs(持続可能な開発目標)を掲げる企業などの参加も見込んでいる。白石町長は「環境を前面に町のイメージアップを図る。水の恩恵を受けてきた町として水と自然を守っていくのが使命だ」と話した。(松田則章)

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