ここでヘッドシェフを務めるのが、サンティアゴ・フェルナンデス。まだ27歳という若さながら、バスク料理大学在学時からワティアの専門家としてセントラルの研究開発部門で働き、25歳にして、セントラルのヘッドシェフも務めたという凄腕。これまでにつくったワティアの数は約30にも上るという。
アンデスでつぶさにその文化を研究し、今、食材を探すために日本各地を旅してきたフェルナンデスは、日本の文化にも、アンデスの大地への信仰と似通った考えを感じると話す。
「アンデスの人々は多神教で、母なる大地の神、パチャママが、自然の生み出す全てのものに宿っていると考えています。それに加えて、『アプ』という山岳信仰があります。一つ一つの山には、それぞれのご利益をもつ神がいて、人は願いに応じて、特定の山に対して祈るのです。日本でも、願掛けのために山に登る人がいると聞きました。それと近いものを感じます。大きな木や岩など、自然にあるものを聖なるものと考える、日本の自然への敬意は、私たちが表現したい、ペルーの自然とのつながりとも共通するものです」
フェルナンデスも、MAZで、ペルーから運んだチャコを使って、「海抜3,260mアンデスの森」という名の料理としてワティアを提供してきた。これまでは、ペルーの原種のジャガイモを入れてきたが、この春は、はじめてそれを山菜に変えた。
「『ワティア』は、自然の恵への感謝を込めて行うもの。日本で、春の訪れを告げる山菜には、厳しい冬を乗り越えて、豊かな食料に恵まれる、春がやってきた喜びがあると感じたのです。収穫をもたらしてくれる大地への感謝。それを、山菜を使うことで表現したい」と、その理由を語る。
多様な自然の生態系を料理で表現。ペルーと日本の大地を結ぶ、東京・紀尾井町のレストラン「MAZ」 - VOGUE JAPAN
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