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Sunday, August 13, 2023

【旅レポ】富士山の自然を感じられる青木ヶ原樹海を歩いてみた。鳴沢氷穴や富岳風穴では真夏でも0℃の涼しさを体験 ... - トラベル Watch

天然記念物として指定されている青木ヶ原樹海の正式名称は「富士山原始林及び青木ヶ原樹海」。富士山の裾野に広がる貴重な原始林

 日本人にも外国人にも人気の富士山は、夏場は登山シーズンとあって多くの人が集まり、ふもとの富士五湖(本栖湖、精進湖、西湖、河口湖、山中湖)周辺も観光スポットとして有名だ。

 それ以外にも雄大な自然を満喫できる場所は多々あるが、今回は緑が美しい青木ヶ原樹海と点在するいくつかの風穴・氷穴を紹介しよう。

富士山の溶岩の上に森ができた青木ヶ原樹海

 富士山は現在の姿に至るまで、いくつかの大規模な噴火を起こしてきた。もっとも現代に近いのは1707年、江戸時代に起きた宝永噴火。火山噴出物は玄武岩質で粘性が低いため、裾野に流れやすい性質を持っているそうだ。噴火口の位置などから流れ出る方向はまちまちで、青木ヶ原樹海は平安時代の864年に起きた貞観噴火の際に流れ出た溶岩の上に成り立っているとのことだ。

貞観噴火によって流れ出た溶岩は西湖と精進湖を形成し、青木ヶ原樹海の土台になった

 流れ出た溶岩が冷え固まってもいきなり樹木が育つことはなく、まずはコケ植物や地衣類が定着し、その後は1年生植物、多年生植物が茂るようになる。そして、強い光を好む陽樹(アカマツやシラカバ)が出現し、低木で構成された陽樹の森が形成される。その木々が成長すると、林床に光が届かなくなることから陽樹は減少し、今度は光が少ない環境でも育つ陰樹(ブナやシイ)などが生え、高木で構成された陰樹の森になっていく。

 原生林のほとんどは陰樹の森であるが、青木ヶ原樹海は陽樹と陰樹の混合林で、変化の過程にある貴重な存在であるそうだ。また、溶岩の上に樹木が生育している環境は独特な景観を生み出しており、このエリアならではの見どころになっている。根がデコボコと地表をはって伸びており、溶岩が崩れた場所は横倒しになってしまうが、たくましくまた上を向いて生長する木々も多く見られるなど、ほかの地域にはない特徴を多く持つ森林であるとのことだ。

溶岩上に最初に育つ植物は「パイオニア植物」と呼ばれる
陰樹の森と陽樹の森の違い

富岳風穴も人気の溶岩洞窟

 富岳風穴は横穴型の洞窟で、鳴沢氷穴よりも歩きやすいのが特徴。総延長は201mで、洞窟内の高さは最高で8.7mあるので狭い印象はない。こちらでも氷柱を見れるほか、縄状溶岩や溶岩棚、溶岩池といった特殊な地形を見ることができる。

富岳風穴の入口。入場料は大人350円、子供200円。期間は4月1日~10月15日まで
こちらの地下にも涼し気な氷がある
養蚕に使う蚕の生育過程を調整するために使われていた天然冷蔵庫
温暖差の激しい10分ちょっとの地下探検はファミリー層にも人気

自然そのままの竜宮洞穴

 最後に紹介する竜宮洞穴だが、こちらは観光地化されていないので知る人ぞ知る穴場のスポットだ。道路脇の案内板から歩道を5分ほど進むとたどり着くが、残念なことに内部は崩落しているので入口までしか行けない。それでも段差を降りるたびに涼しさを感じ、下から見えるコケをまとった景色は一見の価値がある。富士の自然をそのまま感じることができる場所なので、周遊観光地の一つとして覚えておきたい。

竜宮洞穴の入口。こちらは無料だが、崩落が激しいのでなかに入ることはできない
祠が祭ってある場所までは降りていける
竜宮洞穴も天然記念物に指定されている。霊場としての歴史があることから、訪れるとご利益があるかも

 筆者は実際に青木ヶ原樹海を歩いたのは初めてだったが、思っていた以上に普通の森林とは違う景色を楽しむことができた。レクチャーにもあったように、溶岩地形が織りなすなかでたくましく育つ樹木、そして溶岩地形ならではの洞窟など、興味深い場所が多々あった。また、森のなかを歩くのは気持ちがいいもので、都会の喧騒を忘れるにはうってつけとも言える。次回訪れた際は、富岳風穴から西湖まで続く樹海遊歩道も歩いてみたいと思った。

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