巨大サボテンのベンケイチュウはアメリカ西部の象徴だが、2023年夏の猛暑は、このまま気温が上昇し干ばつが続いた場合、ベンケイチュウに何が起こるかを示している。
アリゾナ州のベンケイチュウは2023年の夏、記録的な猛暑で倒れ、枯死している。通常高さ40フィート(約12メートル)に成長し、150年以上生きるこのサボテンは、高温に耐えるように進化してきたが、長引く暑さと水不足によって枯れる可能性があるという。
科学者たちは、最近の熱波がベンケイチュウに長期的にどのような影響を与えるかは不明だが、アリゾナ州で干ばつが続けば、将来的に枯死率は今後さらに上昇する可能性があるとしている。
ベンケイチュウは、主にアリゾナ州南部とメキシコ北西部の一部を占めるソノラ砂漠(Sonoran Desert)にのみ生育している。
アリゾナ州ツーソンの北西に位置するサワロ国立公園( Saguaro National Park )は、そびえ立つ長寿のサボテンを見るのに絶好の場所だ。
フロリダ州のサンゴ礁
フロリダ州キーラーゴ島沖の水中珊瑚礁。
Brent Durand/Getty Images
この夏、気温の上昇により海水温がシロップのように高くなっているため、フロリダ州南部の研究者らはサンゴ礁を守る努力をしている。科学者たちはいくつかの種のサンゴを海から取り出し、陸上の水槽に移すなど必死に試みている。
それでも、広範囲にわたるサンゴ礁が白化現象を起こしたり、完全に死滅したりしてしまっている。しかし、問題はこの夏の熱波だけではない。アメリカ海洋大気庁(NOAA)によると、フロリダキーズの健全なサンゴの生息数は1970年代後半以降90%も減少しているのだ。
フロリダのサンゴ礁系は約350マイル(約563km)に及び、アメリカ本土で唯一の生きたサンゴ礁のバリアリーフである。
フロリダキーズ国立海洋保護区(Florida Keys National Marine Sanctuary)ではシュノーケリングやスキューバダイビングをすれば、サンゴ礁を間近で見ることができる。
カリフォルニア州のジョシュアツリー
カリフォルニア州南東部にあるジョシュアツリー国立公園のジョシュアツリー
Peter Unger/Getty Images
この夏、トゲトゲで曲がりくねっていて、まるで児童作家のドクター・スース(Dr. Seuss)が描いたような150年も生きることができる南カリフォルニアの砂漠の植物、ジョシュアツリーにも問題が生じている。
2023年に入って同州内で最大の山火事となったヨーク・ファイア(York Fire)は、2023年7月30日にモハーベ砂漠(Mojave Desert)のジョシュアツリーの林に燃え広がったという。モハーベ砂漠ランド・トラスト(Mojave Desert Land Trust)のエグゼクティブディレクター、コディ・ハンフォード(Cody Hanford)は、CNNの取材で数百万本のジョシュアツリーが影響を受けた可能性があると語った。
ジョシュアツリーは主にモハーベ砂漠に生育する植物だ。省庁間の火災情報管理システムのインチウェブ(Inciweb)によると、モハーベ国立自然保護区では過去10年間、火災の頻度が増加しているという。消防当局によると、ジョシュアツリーをはじめとする砂漠の植物は、火災にあまり強くないと話している。
ロサンゼルスの東約130マイル(約209km)に位置するジョシュアツリー国立公園はこの木の名を冠した公園で、この愛すべき植物を見るのに最適な場所のひとつである。
モンタナ州、ワシントン州の氷河
モンタナ州北部にあるグレイシャー国立公園。公園内には岩の断層と、後退するグリンネル氷河およびサラマンダー氷河がある。写真はグリンネル氷河。
Marli Miller/UCG/Universal Images Group via Getty Images
アメリカ国内で最も氷河が集中しているのは、ワシントン州のノース・カスケード国立公園(North Cascades National Park)とモンタナ州のグレーシャー国立公園(Glacier National Park)だ。
氷河とはとても大きい氷の塊のことで、その重みで常に移動している。どちらの国立公園でも、氷河は消滅しつつあるという。1966年から2015年の間に、グレーシャー国立公園のすべての氷河は縮小し、80%以上縮小しているものもあり、すでに消滅しているものも多い。またノース・カスケード国立公園や太平洋岸北西部の他の国立公園の氷河も急速に後退している。
アメリカ国立公園局(National Park Service)は、地球温暖化を遅らせる努力だけではグレーシャー国立公園の氷河を救うことはできないかもしれないと述べているが、具体的にどれだけの時間が残されているかは不明だ。
グレイシャー国立公園では、公園管理局が指定した場所で氷河を見ることができる。シアトルの北東100マイル(約160km)にあるノース・カスケード国立公園ではもっと簡単に氷河を見ることができる。
カリフォルニア州のジャイアント・セコイア
カリフォルニアのジャイアント・セコイアの下に立つ女性。
Getty Images
世界最大の木であるジャイアント・セコイアは、カリフォルニアのシエラネバダ山脈の西側斜面にのみ生育している。セコイアの中には、高さが300フィート(約91m)を超え、直径は30フィート(約9m)を超えるものもあり、また3000年以上生きるものもある。
しかしこの巨木たちもまた危機に瀕しており、シエラネバダ山脈に残るジャイアント・セコイアの木はわずか73本だ。樹木の倒壊だけでなく、気候危機や山火事もこの木への被害をもたらしている。
国立公園局によると、「我々は転換点にある。それは過去100年の間、ほとんどの森林では頻繁に火事が発生していなかったこと(セコイアの種子は山火事の熱で落ち、山火事跡の灰の中でしか発芽しない)と気候温暖化の影響が相まって、ここ数年のいくつかの山火事はセコイアにとってより致命的なものになっている」と述べている。
2015年から2021年にかけて発生した6件の山火事によって、ジャイアント・セコイアの木立面積の85%が焼失し、前代未聞の損失が生じた。2020年には1回の山火事で全体の14%にあたる1万600本ものセコイアが焼失してしまったという。
この巨木から名付けられたセコイア国立公園(Sequoia National Park)はロサンゼルスの北約320マイル(約520km)にある。同国立公園や、その隣のロサンゼルスの北約200マイル(約321km)にあるキングスキャニオン国立公園(Kings Canyon National Park)を訪れれば、その多くがローマ帝国の滅亡以降残るというセコイアの木の下を今も歩くことができる。
気候変動で失われるかもしれないアメリカの大自然 - Business Insider Japan
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