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Sunday, March 31, 2024

台湾・基隆の夜市や石垣島の自然を巡る MSCベリッシマ・沖縄発着(後編) - 朝日新聞デジタル

前編から続く

MSCベリッシマの那覇発着クルーズも後半となり、大型船で行く選択肢豊富なクルーズの魅力がさらにアップ。陽気で明るい南の島めぐりは終盤を迎えます。

連載「上田寿美子 クルーズへの招待状」は、クルーズ旅の魅力や楽しみ方をクルーズライターの筆者がご紹介します。

基隆の巨大観音像がお出迎え

クルーズ4日目、MSCベリッシマは、台湾第2の港湾都市・基隆(キールン)に到着。丘の上の中正公園に立つ巨大な観音像が出迎えてくれました。白く柔和な表情の観音様は基隆港の出船・入り船を見守っていると伝えられています。乗客の多くは台北(タイペイ)や九份(チゥフェン)観光に出かけましたが、今回私は遠出はせず、のんびり基隆散策。

台湾・基隆に入港。丘の上の中正公園には白い観音様=上田英夫撮影
台湾・基隆に入港。丘の上の中正公園には白い観音様=上田英夫撮影

まず、有名な「基隆廟口夜市」に行ってみました。船を降り、雨の中徒歩約15分で、黄色いちょうちんが並ぶ夜市に到着。午前十時ごろでしたが、多くの店が開いていて、船の乗客にはとても便利です。まず、通りの中ほどにあるこの夜市の中心的廟(びょう)で1875年に建立された「奠済宮」を参拝。馬に乗った開漳聖王の勇ましい像、極彩色の御堂など日本の寺社とは異なる雰囲気でした。

午前中からにぎやかな廟口夜市=上田英夫撮影
午前中からにぎやかな廟口夜市=上田英夫撮影
(左)奠済宮。馬に乗る開漳聖王の像(右)イカスープと太麺は見た目以上のおいしさ=上田寿美子撮影
(左)奠済宮。馬に乗る開漳聖王の像(右)イカスープと太麺は見た目以上のおいしさ=上田寿美子撮影

ちょうちん通りに戻り屋台を見て回ると主な店には、魯肉飯 (ルーローハン)「天一香」が31番、カニとろみスープの「呉記螃蟹羹」が5番など店番号がふってあり、これも観光客にはわかりやすい目印。各店のお鍋から湯気が立っているのも冬の雨の日にはうれしく、そのうちの店番号40番「花枝焿・大麺炒」に入りました。この店のメニューは、イカのスープ「花枝焿」と太い麺とニラを混ぜた「大麺炒」の二つのみ。しかし、澄んだスープに溶けだした揚げたイカのうまみ、太麺のもちっとした食感は絶妙。最後は麺をスープに入れ汁そばにして味変も楽しみました。

(左)わかりやすい三兄弟の看板(右)台湾スイーツの代表格、豆花とかき氷=上田寿美子撮影
(左)わかりやすい三兄弟の看板(右)台湾スイーツの代表格、豆花とかき氷=上田寿美子撮影

少し歩き、左折すると有名な「基隆三兄弟豆花」の看板がみえました。ここは台湾伝統のスイーツ豆花(ドウファ)が食べられるお店です。大豆が原料の豆花に芋やタピオカをトッピングした温かいデザートは体に優しい甘さ。薄桃色の花びらのようなイチゴのかき氷は、ふわふわでした。

「二大劇場」と船内が白く染まるホワイトナイト

二つの大劇場や、多数の娯楽プログラムがあるMSCベリッシマは、ナイトライフも楽しさ満載です。約1000人収容できるロンドンシアターはクールなロックショーや華やかなレビュー、時にはオペラやマジックなども上演。一方、400人収容可能な円形劇場カルーセルラウンジではサーカスと歌と物語を組みあわせたようなアクロバティックなショーが上演され、あたかも仮想の世界へ迷い込んだ面白さ。趣が異なる本格的なショータイムはいずれも夜の花形です。

ロンドンシアターの華やかなショー=上田英夫撮影
ロンドンシアターの華やかなショー=上田英夫撮影

また、LEDドーム天井のあるプロムナードはさしずめ船内のお祭り広場。定時になると「魔法の本」「世界の不思議」などをテーマにしたドームショーがはじまり、瞬時に変わる天井画の美しさが見ものです。

(左)LEDドーム天井に浮かび上がる青空と花畑(右)一瞬でジャングルの夜のような天井絵に変わる=上田寿美子撮影
(左)LEDドーム天井に浮かび上がる青空と花畑(右)一瞬でジャングルの夜のような天井絵に変わる=上田寿美子撮影

さらに、基隆を出港した夜にはここで、ホワイトパーティーが開催されました。それに合わせ船内新聞に記載された本日のドレスコードはホワイト。「何か白い服を持っていたらぜひ着てください!」ということですが、もちろん白い服でなくても気軽に参加できます。開始時刻になると会場には白い服を着た数百人の乗客が集まり壮観。白い服を着たクルーズスタッフの動きにあわせ、大集団が踊る姿は圧巻。この船には、日本、台湾の乗客をはじめ数カ国・地域の人々が乗っていましたが、老若男女、同国異国の人々が、年齢や言葉の壁を越えて一緒に楽しむ姿はほほえましいものでした。

ホワイトパーティーの熱気=上田英夫撮影
ホワイトパーティーの熱気=上田英夫撮影

さらに、部屋に戻ると、待っていたのは白いタオルで作られた動物たち。ベッドの上には、ハートを描くつがいの白鳥や、サングラスをかけたカモノハシ?、ソファにはウサギやゾウ。そして、ハンガーにブラ下がるサルまで。まさに、客室がタオル細工の動物園と化していたのです。ほかの船でもタオル細工のサプライズはありましたが、こんなにたくさん作ってくれたのはMSCベリッシマが初めて。乗客を喜ばせようというバトラーや客室係の熱意が伝わってきました。

タオル細工の動物園と化した客室=上田英夫撮影
タオル細工の動物園と化した客室=上田英夫撮影

このように、船内には人と人が触れあう楽しさもあれば、最新のマシンで遊び、スカッとすることも可能です。16階後方のバーチャルアーケードには特殊メガネをかけゾンビを倒すXDシネマや、VR迷路、ボウリング場などが完備。なかでもF1レースの模擬体験ができるF1シミュレーターはMSCクルーズらしいマシンと言えるでしょう。

(左)特殊メガネをかけて戦うXDシネマ(右)MSCF1シミュレーター=上田英夫撮影
(左)特殊メガネをかけて戦うXDシネマ(右)MSCF1シミュレーター=上田英夫撮影

なぜなら、4月5日~7日、モータースポーツの最高峰と言われるF1グランプリが日本の鈴鹿サーキットで開催されますが、そのタイトルスポンサーがMSCクルーズなのです。「FORMULA1 MSC CRUISES JAPANESE GRAND PRIX 2024」と冠したレースの決勝は4月7日。最高のドライバー×最速のマシンが繰り広げるレースでは、果たしてどのチームが優勝するのでしょうか。そして、MSCベリッシマのクルーズ経験者には、いつも以上に興味のわく、F1日本グランプリになることでしょう。

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