水上ビルで自然派ワインスタンドの営業を始めたテノール歌手の近藤さん(豊橋市駅前大通3丁目で)
豊橋駅南側の通称・水上ビルに自然派ワインスタンドが5月にオープンした。店に立つのは、テノール歌手の近藤辰俊さん(48)。シャンソンやオペラの楽曲などが流れ、気軽にワインが楽しめる店を「人と人、人と文化が出会うハブのような場所にしていきたい」と話す。
夕方までコーヒースタンドだった店は、間接照明だけの穏やかで温かな空間へと装いを変えた。店内には、自然派ワインを中心に赤や白、オレンジワインが常時8種類ほど並ぶ。言葉が音楽に乗ると歌になる―。店名は、歌を愛する近藤さんらしい「ことの音ぶどう酒店」。ワインと味わうのは、スペイン料理でおなじみのピンチョスのような、もなかの皮の上に旬の食材がのったフィンガーフード。海外の人が豊橋を感じられる店にもなるよう地元産食材を使ったメニューも用意する。
東京都出身の近藤さんと豊橋に縁ができたのは12年前。大地真央さん主演のミュージカル「マイ・フェア・レディ」で帝国劇場デビューを果たすなど、数々のオペラ、ミュージカルに出演してきた近藤さんだったが、2011(平成23)年の東日本大震災の影響で数々の公演が中止に。安定した仕事を探す中で豊橋市内のホテルに就職した。
以来、舞台からは距離を置き、ホテル勤務を続けておもてなしの心を学んだ。ただ、発声練習は欠かすことはなかった。転機となったのは一昨年10月。鎖骨を骨折し3カ月間、仕事を休む中で人生を見つめ直し、「好きな歌とワインを一生懸命やっていこう」と決意した。
ワインは、オペラが始まったと言われるイタリアの文化を知る上で欠かすことはできない。オペラをきっかけにワインに関する歴史や文化、地理も学んできた近藤さん。ヨーロッパ旅や音楽留学していたドイツで出合ったワインを紹介するワインスタンドの立ち上げを決めた。
さらに今年、「舞台人」としても再出発を果たした。12年ぶりの本格的な舞台復帰作となったのは、今年2月に名古屋市文化振興事業団が主催した40周年記念のオリジナルミュージカル。制作陣には、かつての「マイ・フェア・レディ」スタッフもいた。「頑張っている姿を見せようと、チャレンジの思いでオーディションを受けました」と話す。7月にも、名古屋でオペラ「マドンナの宝石」への出演が決まっている。
現在はテノール歌手とワインスタンド店主という二足の草鞋(わらじ)を履く。クラシックやシャンソン、K-POPなど多彩な音楽が漂う店内では、客も音楽談議に花を咲かせる。今後は発声練習の方法などを教えるワンポイントレッスンを通じて、オペラやミュージカルに親しみを持ってもらう取り組みも始める予定だ。
場所は、清水銀行豊橋支店向かい側の大豊ビル。営業は金~月曜の午後6時~同10時。火・水・木曜は不定休。
2024/06/27 のニュース
水上ビルに自然派ワインスタンド - 東海日日新聞
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