プジョー 5008に乗って、親子2人だけで行く久々のクルマ旅。東京から滋賀・琵琶湖まで向かうロングドライブだ。もし相手が結婚前の娘だったとしたら……。目的地までの道のりはどんな旅、どんな会話になるだろうか。
少しの緊張と期待。ドライブ旅が2人の距離を縮める
出発地は東京。琵琶湖に向けて、まずは住宅地から東名高速までの道行きだが、プジョー 5008は着座位置が高く視界がよいこともあって、狭い道路でも取り回しは楽だ。ホイールベースは2840mmと長く、最小回転半径も5.8mと決して小さくないが、意外なほど取り回しやすいのは、プジョー独特のハンドル形状にある。楕円形のレーシングカーのような小径ハンドルは、少ない操舵量でハンドルがよく切れて街角など曲がりやすい。少し重めのハンドルも、手応えがあって欧州車らしい安心感がある。
東京ICのランプウェイから軽やかな音とともに早い流れに合流する。街中ではあまり体感できなかった2Lディーゼルターボの力強い加速は、こんなときに実力を遺憾なく発揮する。
なにかと気を使う街中から高速道路に入り、コシのあるシートに身を委ねながら、何から話を始めようか考えている自分がいた。彼女が独立して何年が経つだろう。つい昨日のことのように家族で旅行をしていた時期を思い出す。あの頃はリアシートで、新しい何かを発見するたびにはしゃいでいた。
きっかけを作ったのはやはり彼女からだった。通り過ぎるクルマを見ては新しい発見を口にしたり、流れゆく景色のなかに驚きを見つけたりするのは昔のままだった。静かだが生き生きとしたクルマの鼓動を感じるキャビンは、家族の会話にちょうどよい。
スマホをUSBポートにつなぐと、車載のタッチスクリーンでスマホアプリを操作できる「PEUGEOTミラースクリーン」に。2人の好みに合いそうな音楽を再生するなど、プジョーを介して話題はつきない。
さらにパノラミックサンルーフの電動メッシュシェードを開けるとキャビンが一気に明るくなり、思わず歓声が上がる。これなら家族が増えたドライブでも爽快な気持ちになるのは間違いない。
サービスエリアで少し休憩したあとに運転を交代する。初めてドライブする5008に彼女も緊張気味だ。それでも、最初こそぎこちなかったが、ちょっとしたアドバイスですぐにリラックスしてなじんできた。プジョー独特のメーターパネルが小径ハンドルの上に見え、視線移動が少なく安心してドライブできるようだ。
落ち着いたところで、クルーズコントロールの使い方や、分かりやすい位置に配置されている空調やナビなどのトグルスイッチ、その下にあるデフロスターやドアロックなどの使い方を教える。必要なスイッチはすぐに目に入るところに配置されているので、とても使いやすいはずだ。
高速道路をクルージングすると、ギアが8速に入ってエンジンは低回転でユルユルと回る。追い越しでアクセルをちょっと足すだけでグイと加速するのもディーゼルエンジンらしく、低回転域でのトルクの強さを感じる。
新東名には最高速度120km/hの高速区間もあるが、5008なら余裕のある快適なクルージングを続けられる。ステアリングコラムから伸びるオートクルーズ系が集合したレバーを操作して、120km/hに設定すると、前車の速度に合わせて車間を保ちながら自動で追従を始める。欧州生まれだけあって、高速直進性、安定感も高い。
名神高速の大津ICを降りて、湖沿いを走ると琵琶湖マリオットホテルに到着した。のんびりとしたドライブで東京から約7時間。湖畔に建つホテルは心地よいおもてなしで迎えてくれた。
12階にあるレストランからは琵琶湖大橋、遠くに比叡山を望める景観が素晴らしい。夕景に染まっていく琵琶湖を背景に摂る夕食は、それは美味しく楽しい時間だ。
グラスでいただく吟醸酒で一層会話が弾み、あっという間に時間が過ぎていく。出発前にちょっと緊張していたのが嘘のようで、離れていた時間が隔てた距離感は、旅を通して一気に縮まった。
晴れやかな翌朝、少し琵琶湖のまわりをドライブしてみることにした。両手に荷物を持っていたが、リアバンパー下に足をサッと入れるとテールゲートが開き、スマートに積み込める。
琵琶湖は豊かな土地で穏やかな田園風景が広がり、東京にはない長閑さで時の流れが遅くなったように感じる。
湖畔に5008を停めてエンジンをオフする。パノラミックサンルーフから見る木漏れ日に、また特別な時間を感じる。
波打ち際に降りてさざ波を眺めていると、小さい娘の手を引いて、石の多い川辺を歩いたのを思い出す。あのときの波の音も今日と同じく穏やかだったが、時の流れは早いものだ。
彼女はこれからどんな時を刻んでいくのだろうか。プジョー 5008での旅がそうだったように、穏やかで光あふれる前途が待っていることを祈るばかりだ。
旅の相棒は7シーターSUV。プジョー 5008 GT BlueHDi
プジョーは日本市場でも好調で、伸張著しい。ラインアップは豊富で、日本の道路でも使いやすいサイズのハッチバックやセダン、7シーターのクロスオーバーも揃っており、幅広いユーザーニーズに応えられるのが強みだ。
今回ロングドライブを楽しんだ5008は7シーターのSUV。プジョーのラインアップでは大きい部類に入る。
といっても全長4640mmで、世のミニバンよりも短いぐらいだ。例えば同じ3列7シーターのマツダ CX-8は全長4900mmだから、二回りほど大きい。一方、5008の全幅は欧州車らしく1840mmとワイドで、奇しくもCX-8と同じ。それでも、狭い道が多い日本の道路で使いやすいサイズに収まっている。全高は1650mm。乗用車を少し背高にしたくらいで、必要以上に大きく感じさせないのが合理性を重んじるプジョーらしい。
グレードはGT BlueHDi、2Lのクリーンディーゼルだ。
ディーゼルエンジンの2つの大きな魅力の1つは燃料代の安さ。もう1つはエンジンの使いやすさだ。走り始めから力強くグイと反応するので、パワフルで頼もしい。
ディーゼルエンジンのノイズはかなり抑え込まれていて、静かな住宅地でも気兼ねなくエンジンを始動できる。より静粛性が高い1.6Lターボのガソリンエンジンも用意しており、販売店で比べてみるのもよいだろう。
ちなみに5008は前輪駆動だが、4輪駆動が得意とするような滑りやすい路面もカバーできる。ブレーキとアクセル制御を組み合わせて駆動力を伝える「アドバンスド・グリップ・コントロール」を備えており、砂地、泥、雪道などでいざというときに心強い味方になってくれる。
エンジンの出力特性や選択するギヤなどを変えられるドライブモードセレクターは、通常使うノーマルと燃費優先のエコ、元気に走りたいときのスポーツがあり、使い分けることができる。
将来の家族のために、後席の乗り心地もチェックする。キチンと3分割されている2列目シートは前席よりは狭いが、大人がちょうどよく座れる余裕がある。少し硬めに設定されているためか不思議と身体がサポートされて、上下動に対して収束が早く、ロングドライブにも適してそうだ。
150mmスライドするシートを目一杯下げると広大なレッグスペースが現われ、パノラミックサンルーフから注ぐ陽光に満たされる空間で日常から解放される。シートは階段状に並んでいるため、視界が広く開放感もある。
2列目シートをレッグスペースを残して前にスライドさせて、3列目に座ってみる。それぞれ独立したシートは硬くて小さいが、大人2人が座るスペースは備えている。長時間にわたって使うというよりも、いつでも7人乗れるという安心感が大きなメリットだ。
1泊の旅なら2人分の荷物でも微々たるもの。3列目シートをたたんだ約700Lの容積を持つだだっ広いラゲージルームに放り込む。7人乗りの5008も通常はこのような状態で使われることが多い。フロアもフラットで、かさばる荷物を置くのに困らない。もし必要ならワンタッチで外れる3列目シートを家に置いていけば、さらに38Lの床下収納スペースが生まれる。
フランス車らしいモダンさと内装のしつらえ、日常の足としてもロングツアラーとしても快適な5008。ぜひ試してみてはいかがだろうか。
道路使用許可:大津警察署 第0490号
プジョー 5008で行く父と娘の琵琶湖ドライブ旅。自然と会話が生まれる車内 - トラベル Watch
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