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Tuesday, June 22, 2021

海にそびえる 自然の芸術 - 読売新聞

  紺碧こんぺき の海に、大きく突き出した白い岬――。青と白のコントラストが美しい。「日本のエーゲ海」。由良町西部の白崎海岸を、地元の人たちは誇りを込めて、そう呼ぶ。

 岬の先端の白崎海洋公園は、海に浮かぶ氷山のようだ。白さの秘密は石灰岩。約2億5000万年前、ウミユリなどの海中生物の死骸が積み重なってできたとされ、セメント材料として1971年頃まで採掘されていた。

 海岸沿いにはいくつもの白い巨岩が立ち並ぶ。中でも目を引くのが「 立巌たてご 」だ。高さ48.8メートル。真ん中に門のような大きな穴が開いた不思議な形だ。なぜこんな形になったのかはよく分かっていない。一帯はウミネコの繁殖地としても知られる。

 「子どもの頃は、立巌の下でワカメをよう採ったもんやで」。漁師の川口健男さん(73)が、日に焼けた笑顔でそう言った。

 川口さんは、白崎海岸を漁船で巡る「白崎クルーズ」が始まった約15年前から、船頭も務めている。「立巌を海上から見てみたい」とお願いし、近くの大引漁港から乗せてもらった。

 潮風が心地よく、さっきまでの暑さがうそのようだ。漁船が立巌のすぐ前で止まった。間近で見ると、迫力満点の大きさで、見上げるばかりだ。「自然が作り上げた芸術」に驚かされた。

 1時間のクルーズが終わる頃、ウミネコが漁船近くに飛来してきた。再訪を呼びかけに来てくれたかのような姿に心が弾んだ。

 2018年9月、白崎海洋公園に危機が訪れた。関西空港などに大きな被害をもたらした台風21号だ。

 スキューバダイビングのクラブハウス付近に大量の流木が流れ込み、物産売り場が入るパークセンターや宿泊用のログハウスも破損した。運営業者が町の指定管理者から撤退し、公園は7か月余り全面閉鎖した。

 町は被害の大きかったクラブハウスの再開は断念したが、その他の復旧に注力。19年4月、公園の入り口付近や展望台の入場を再開した。

 地元の町民有志も立ち上がった。同年10月に一般社団法人「紀州の 」=山口太志代表理事(59)=を設立し、パークセンター内に地元産品の販売店をオープンさせた。現在は、ログハウスなどの宿泊施設や食堂も運営している。

 公園では、ウミユリなどの化石やカルスト地形も観察できる。近くには、ニホンスイセンの群生地、県内唯一の戸津井鍾乳洞もある。

 山口代表理事は「白崎一帯はまさに自然の神秘。台風の前以上に、全国から多くの人が集まる公園にし、町を元気にしたい」と力を込める。(森本寿夫)

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