
高校球児の熱戦が続く阪神甲子園球場。テレビ中継で全景が映るたびに「広いなあ」と思っていた。神戸市灘区六甲山町の六甲山牧場は、そんな聖地32個分の敷地だという。東京育ちの自分には、市街地からほど近い場所に大自然があることが新鮮だった。広さを満喫したくて、標高700メートル付近の六甲山中に向かった。
爽快感は、実際に気温が低いからか。三宮に比べて、4~5度低いことも。これだけ広ければ、密集の心配もあまりなさそうだ。
牧場は北、南、東の三つのエリアに分かれ、ヤギの餌やりや乗馬、自家製チーズを楽しめるショップなどがある。大人500円、小中学生は200円、未就学児は無料で入場できる。
北入場口から入ると、すぐに放し飼いのヒツジが出迎えてくれた。「メェ~」。聞こえてきた鳴き声は、想像より低く、力強い。
山の斜面を上り下りして、ヒツジが多くいる南エリアへ。大半が木陰で涼む中、ヒツジ小屋の前で、変わった涼み方をするヒツジたちがいた。シャッター沿いの細長いひさしの日陰に、薄茶色のもこもこが“縦列駐車”。頭がそろって同じ方向を向き、シャッターにべったりと体を密着させて寝転ぶ姿が面白い。
「暑くないのかな」。心配しつつ、全身を覆う長さ3センチほどの巻き毛を背中から触ってみた。中はふわふわ。指をくぐらせると、少し湿り気を感じた。汗や皮脂が蒸発しているらしい。手の感触から、生命の営みを感じられた。毎年春には、毛の刈り取りイベントも開催されるという。
北エリアの「ミルクカフェ」では、場内で採れた牛乳から作った、苦みとコクが特徴の「神戸チーズ」、ペースト状の神戸チーズを混ぜた「神戸チーズ入りソフトクリーム」などを堪能できる。
「チーズ入りのソフトクリーム? こってり系かな」。そう思いながら一口。ソフトの甘みをチーズの風味が引き立て、後味にカマンベールチーズのような味がふわっと広がる。思ったよりも軽やかな味で、夏にもぴったりだ。園内のレストランでは、チーズフォンデュなども味わえる。
涼しい牧場で自然や動物と触れ合い、牧場グルメに舌鼓。何とぜいたくな夏の1日だろう。(斎藤 誉)
=おわり=
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