「山に名札みたいに『山』と書いてあった」とうれしそうに話すのは、下校中に見つけたという高平台小1年の田中優音[ゆうと]君。姉で同小2年の音々[ねね]さんは「教えてもらうまで気付かなかった」と振り返る。優音君が最初に気付いたのは昨年10月で、今よりもオレンジ色だったという。なるほど冬よりも、紅葉時季の方が文字が目立つらしい。
山の一部を管理する林野庁所管の森林総合研究所九州支所(同市中央区)によると、場所は同支所の実験林だという。
1986年3月、実験林で火災が発生。人的被害はなかったが、約6ヘクタールの松など約1400本を焼いた。山の文字はその2年後の88年に植栽されたことが記録されていた。ただ「詳しい経緯などが残っておらず詳細は分からない」と同所地域連携推進室の根本成雄室長(53)。
文字の大きさは、横50メートル、縦65メートル。常緑樹の山肌に、落葉樹のヤマザクラとヤマハゼ、イチョウが植栽され、季節ごとに花や紅葉で「山」が浮かび上がるそうだ。
さらに「実は立田山には山だけでなく、『水』の文字もある」とも教えてくれた。山の文字の近くにある立田山配水池には、ツツジで植栽された水の文字(25メートル四方)があるという。
管理する市上下水道局(同区)に聞いたが、こちらも詳しいことは分からず「昭和30年代、配水池の整備の際に植えられたようだ」とのこと。
現地を訪ねると、水の文字は地上からでは判別が難しかった。このため小型無人機で上空から撮影すると、はっきりと確認できた。衛星写真サービス「グーグルアース」でも探すことができる。
実は24年前の熊日の「ハイ! こちら編集局」でも、立田山の山の字が偶然できたかどうかという投稿があり、市の担当課が「初めて聞いた。全くの偶然だと思う」と回答。しかし、その記事を受け、森林総合研究所が「私たちが造った」と名乗りを上げ話題となっている。以前から気になっている人が多かったようだ。
なぜ山の文字に決めたのか? 同所職員からは「木だと水と間違いやすいからでは」との珍説も飛び出したが、詳しいことは分からないまま。ただ、熊本市街地に残る里山を散策する楽しさを、小学1年生の“発見”があらためて教えてくれた。(鬼束実里)
立田山に「山」の文字、小学生が〝発見〟 自然にできた? 中腹には「水」も|熊本日日新聞社 - 熊本日日新聞
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