県が瀬戸内町の嘉徳海岸の侵食対策事業として、同海岸で計画している護岸工事に向けた取り付け道路の整備が22日から本格的に始まった。護岸工事の見直しを求める自然保護団体の関係者が抗議する中、県側は同日午後から嘉徳集落入り口近くの工事現場に資材を搬入して工事用フェンスと歩行者用通路を整備。関係者が県職員に詰め寄る場面もあり、瀬戸内警察署員が駆け付け騒然とした。
嘉徳海岸は2014年の台風18、19号で砂丘が削られたため、同集落が県へ侵食対策を要望。専門家などを交えた検討委員会を経て18年1月、全長180㍍のコンクリート護岸整備を決定した。
護岸工事の工期は昨年9月2日から今年3月10日までの約半年間。護岸整備箇所へ向かう工事用道路のルート選定などに時間を要し、工期は約4カ月間遅れている。県は今月上旬から海岸利用者用の代替駐車場を整備し、同14日から工事用道路の準備を進めてきた。
22日午前9時ごろ、同集落入り口の工事現場で作業を進めようとする県大島支庁瀬戸内事務所の職員に対し、保護団体関係者が「海岸には砂浜が戻っており、護岸は必要ない。工事が生態系に与える影響も懸念されており、一度自然が破壊されれば元に戻らない」など声を上げ、工事を中断して協議の場を設けるよう約3時間抗議した。
だが午後1時すぎには、保護団体関係者からの介入を受けないよう、県担当者と工事関係者がバリケードを作り資材を搬入して工事用フェンスの整備を開始した。県側は作業中断を求め過熱した住民らの抗議を業務妨害と受け止め110番通報。瀬戸内警察署から10人以上の署員が駆け付け、事情聴取や工事への妨害がないよう監視するなど混乱した。
嘉徳集落在住で「奄美の森と川と海岸を守る会」の高木ジョンマーク代表(49)は「話し合いの場を設けてほしいという声を無視し、工事を強行する県の姿勢はあり得ない。抗議しても工事が続く可能性が高い。撮影した動画を発信するなどして、世論に訴えたい」と話した。
県大島支庁瀬戸内事務所建設課の用皆弘太課長は「今後も保護団体関係者の抗議が予想されるが、安全に支障がないように説得するなどして工事を進めたい」と述べた。
工期は3月10日までのため、県は事業の繰り越しを検討中。事業繰り越しとなれば3月中までに工事用道路の整備を終え、4月にも本体工事の着工を計画している。
道路工事、本格的に着工 自然保護団体が抗議 嘉徳海岸侵食対策事業 | 南海日日新聞 - 南海日日新聞
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