謎が多く存在する量子の世界。いったい何が起きているのでしょうか(写真:ブルーバックイメージ/PIXTA)
物質や光などを極限まで小さく分けた最小単位を「量子」と呼び、私たちの身の回りにある物質はすべてこの量子からできています。しかし量子には謎が多く存在し、そもそも量子がいったいどのような姿をしているのかもわかっていません。教科書を開けば「量子とは波であると同時に粒である」という一見して矛盾した記述がされており、多くの学習者を悩ませてきました。量子の世界で、いったい何が起きているのでしょうか。発売後たちまち重版となった『量子で読み解く生命・宇宙・時間』の一部を抜粋して紹介します。
分子の性質が細胞の活動を促す
脂質分子が水中で安定な膜構造を形成する仕組みを見てみよう。
(図:幻冬舎plus)
水の分子(H2O)は、酸素原子に水素原子2個が結合し、「く」の字形に折れ曲がっている。3つの原子がなす角度は、すべての水分子に共通であり、104.5度である。
一方、生物の体内に多く存在する脂質分子は、尾が2本に分かれたオタマジャクシのような形状をしている。頭に相当する部分は、水になじんで溶け込もうとする性質があり、親水基(「基」とは、分子内部において、まとまった状態で機能したり場所を移したりする原子集団のこと)と呼ばれる。逆に、しっぽの部分は、水と反発して離れようとする疎水基である。
(図:幻冬舎plus)
1つの分子に親水基と疎水基があるため、水中に多数の脂質分子が入り込むと、集団で水分子と相互作用し構造を形成する。水の表面があれば、疎水基が水から出て行こうとし親水基がとどまろうとするので、疎水基を外に向けた状態で表面を覆う薄い膜となる。水の中では、水と反発した疎水基同士が自然と集まるため、脂質分子は、内側に疎水基、外側に親水基が並んだ二重層を作って安定化する。
私たちの細胞が傷ついても自然治癒するカラクリ | 幻冬舎plus - 東洋経済オンライン
Read More
No comments:
Post a Comment