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Tuesday, March 1, 2022

自然災害への対応 事業継続へ計画作ろう - 日本農業新聞

 自然災害に遭ったとき、被害を最小限に抑え、経営を早期に復旧させるには、万一の事態を想定した事業継続計画(BCP)の策定が求められる。計画があれば、いざというときに何をすべきかを意識しやすい。農業経営者も自身や家族、従業員の安全を守るためにも、策定を急ぎたい。

 内閣府は2年に1度、企業の事業継続や防災への取り組みについて実態をまとめている。災害対策を見据えたBCPについて、直近の2020年の調査では、大企業の68・4%、中堅企業でも34・4%が策定済みと答えている。

 業種別で見ると、農林漁業での策定済みは23・6%にとどまる。農林漁業のサンプル数が少ないので一概には言えないが、策定を済ませている経営体は多くはなさそうだ。

 策定していない理由として、全体では「策定に必要なスキルやノウハウがない」が最多なのに対し、農林漁業者は法令など「規定・規則がない」を挙げた。「やり方を指導してもらえればやれる」という全体の前向きな姿勢に対し、農林漁業者は「義務付けされていないから策定していない」と考えているようにも受け取れる。

 しかし、被災時の経営再開は人ごとではない。自身と家族の生活を守るには早急な経営再開が必要だ。法人経営は特に従業員の命を守り、収入を確保する責任もある。取引先なども含め、産品を早急に供給することも求められる。

 家族や従業員の安否はどう確認するか。電気が止まったら何日間持ちこたえられるか。水はどのように入手するか。BCPを立て、緊急時の取り組みを平時から考えることは、自身の経営の弱点を点検する作業でもある。無駄な作業ではない。

 近年の自然災害は、気候変動の大きさを受けて頻発化し、被害が激甚化する傾向がみられる。農業は自然と向き合っているだけに、自然災害の影響は避けられない。

 農水省によると、東日本大震災の前年の10年、災害による農林水産関係の被害額は933億円だったが、年ごとに増加傾向を示し、19年には4883億円と、ここ10年で5倍以上に膨れ上がった。

 農水省はBCPについて周知を進めているが、自然災害への備えの重要さは、実際に災害に遭ったり、身近に被災者がいたりしないと、農家は実感が湧きにくいようだ。内閣府は事業継続計画の策定を、被災経験がある地域から横展開していければと話している。

 今年も「3・11」が近づいてきた。当時を振り返ってほしい。被災地以外でも被災者の体験を聴く機会などを設けて災害は身近なこととしてとらえ、BCPの策定を考えてほしい。

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