
【群馬】パワースポットとして人気を呼んでいる赤城山(標高1828メートル)。その南面にある三夜沢(みよさわ)赤城神社(前橋市)で19日、光と音楽による祝祭イベントがあった。オーロラで有名なカナダ・ユーコン準州のホワイトホースとオンラインでつなぎ、巨大スクリーンで現地を映し出した。異次元の時が紛れ込んできたような演出に参加者は一斉にカメラを向けた。
「赤城SUNdo~二つの空と太陽の道~」。いにしえの時代から大切な祈りの場でもあった赤城山や、1千年以上の歴史がある神社の魅力を見直そうと、前橋市内の有志らが参集。カナダ側の「オーロラ60プロジェクト」に参画し、県や市が後援団体となった。
「自然との共生を地球規模で考えないといけない時代に私たちは向き合っている。いまの物質文明のあり方でいいのか赤城から疑問を発したい」
イベントを企画した電気工事会社社長の渡辺辰吾さん(45)はそう語る。
実行委員会によると、500人分の前売り券は完売。県外ナンバーの車もあり、関心の広がりを見せた。
うっそうとした巨木の森や苔生(こけむ)した岩に囲まれてひっそりとたたずむ赤城神社の拝殿。その近くに設けられたスクリーンに午後6時半ごろから極寒の現地の様子が流れた。
また本殿の前では、甘くつややかな歌声が魅力のボーカリスト中納良恵さん、アイヌ民族の弦楽器トンコリの伝承者OKIさんらがライブ。荘厳な音楽が流れるとあたりは神々しい雰囲気に包まれた。
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今回のイベントに協力した赤城温泉の老舗旅館「御宿(おんやど)総本家」(前橋市)の主人、東宮惇允(とうみやあつよし)さん(75)にパワースポットとしての赤城山の魅力を聞いた。
――赤城山に来ると、山の中に自分が溶け込んでいくような感覚になります。
赤城は古くから信仰の対象の山。山伏の修行場でもあります。土地が持つエネルギーが、人の潜在意識に何かを語りかけてくるのかもしれません。山の神さまは目には見えませんが、私たちとはゆるやかな絆で結ばれているのです。
――温泉も大地の恵み。パワースポットですね。
約1200年前の平安時代中期に地殻変動があり、湧き出たのが赤城温泉の始まりといわれています。炭酸を含む高温泉で、空気に触れるとやがて黄緑色に変色します。私の宿は1689(元禄2)年の創業です。標高860メートルの山中にポツンとあるのですが、どこか忘れられたような感覚がいいのでしょう。
――コロナ禍もあり、窮屈な日常から脱出したいと思う人が多いのでは。
大切なのは心の安らぎであり、ぬくもり。効率やスピードではありません。赤城山には鄙(ひな)びた風景がまだまだ残っています。それを後世に伝えていくのが私たちの役割です。(聞き手 編集委員・小泉信一)
自然との共生を赤城で考えよう カナダからオーロラ中継 - 朝日新聞デジタル
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