台風による雨もあって、県内の田園では稲苗が緑の色をさらに濃くしている。南砺市綱掛の「田んぼの教室」も目に鮮やかな姿。順調に育っているようだが、これからの育て方を巡って教室の渡辺吉一校長ら「なべちゃん農場」のスタッフと受講生が話し合い、ある決断をした。
この時期、従来型の慣行栽培だと田んぼの水を抜く「田干し」が既に行われている。稲の茎が枝分かれする分げつが進みすぎて穂にならない茎が増えるのを防ぐとともに、稲刈りの際に機械が入れるよう土を固くするためだという。教室の田んぼも七月末ごろには水を抜き始める予定だった。
それが先日、集まっていた受講生を前に渡辺校長がこんなことを話し始めた。
「本当は水を張ったままにしておいた方が、稲にとってはいいんだけど…」
植物は水と養分を土から吸い上げ光合成をすることで成長する。「だから(田干しをしなければ)稲は最後まで生き生きして茎が太く米の粒も大きくなっておいしくなる」というのだ。
でも、水を抜かずにおくといつまでも泥がとろとろのまま。足を入れると膝までつかる。機械が入れず手刈りの重労働は避けられない。教室の田んぼは十アールの広さがある。受講生で決を採った。干すか、そのままか。全員、即座に「干さずに手で刈りましょう」。
広い田んぼなら普通は難しいが、こうして育てた稲は鎌で刈る時にバキバキと音がするそうだ。そんな茎になるまでとことん熟させる。どんな米ができるのだろうか? (中島健二)
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南砺市の「なべちゃん農場」が今春、開講した「田んぼの教室」に記者が入学。現場からの報告を随時掲載します。
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