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「最大需要発生時の2023年2月の予備率は、2012年度以降で最も厳しい」。資源エネルギー庁は2022年5月の総合資源エネルギー調査会で、電力需給の厳しい見通しを発表した。
2022~2023年の冬が10年に1度の厳しい気象条件となった場合、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州の7つのエリアで2023年1~2月に最低限必要な予備率3%を確保できない。中でも東京エリアは冬季に予備率がマイナスになり、電力需要を賄う供給力を確保できない事態が想定されている。
経済産業省や電力各社は節電を呼びかけているが、電力の需給バランスが崩れれば計画停電に至るか、最悪の場合は大規模停電も考えられる。企業は「停電は起こり得る」と想定したリスクマネジメントが求められる。
初めての「電力需給ひっ迫警報」
電力需給は2022年に入って厳しい状況が続いている。政府は3月21日、東京電力管内で「電力需給ひっ迫警報」を発令した。警報発令は初めての事態だ。東京電力や経産省が企業や家庭に節電を呼びかけて停電は免れたものの、3月22日には東京スカイツリーが開業以来初めてライトアップを終日中止するなど、一時は緊迫した状態となった。
電力需給ひっ迫警報は、需要に対する電力会社の供給予備率が3%を下回る見込みとなった場合に発令される。政府は2022年6月7日、電力需給に関する検討会合で注意報と準備情報の新設を発表した。
注意報は前日の段階でピーク時の電力供給の予備率が5%を下回ると予想される場合、準備情報は前々日の段階でピーク時の電力供給の予備率が5%を下回ると予想される場合にそれぞれ発令する。注意報は6月26日に初めて発令され、同月27~30日も続いた。電力需給は引き続き予断を許さない状況にある。
京都大学の安田陽特任教授は3月22日の需給ひっ迫について、「需要のピーク期を過ぎたため一部の発電設備が定期点検に入った」「3月16日の福島県沖地震で6基の火力発電所が停止になった」「季節外れの寒波に見舞われた」といった事象の重なりで起こったと説明する。
とはいえ、こうした事態に備えて予備率を常に高く保つのは現実的ではない。このため、企業や家庭といった需要側で停電リスクに備えておく必要がある。
ITインフラを襲う停電リスク、自然災害増や国際情勢悪化で需給に不安 - ITpro
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