[株式会社イノカ]
~ 環境移送技術で、企業活動が海洋生物多様性に与える影響やリスク評価などの研究開発ならびに枠組みの構築を目指す ~
株式会社イノカ(本社 : 東京都港区、代表取締役CEO : 高倉葉太、以下「イノカ」)は、国内ベンチャー企業としては初の事例(※1)となる、「自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:以下「TNFD」)」のフォーラムメンバーへの参画が決定しましたことをお知らせします。
イノカは独自の「環境移送技術(※2)」を応用し、海洋生物多様性に対する影響評価・リスク評価などの研究開発ならびに枠組みの構築を推進するべくパートナーシップを推進しています。今回の参画で、今後2030年までに最大で年間10.1兆米ドルのビジネス価値を生み出す可能性があると言われている(出典1)ネイチャーポジティブ(※3)の国際的な拡大に貢献してまいります。
※1 国内ベンチャー初:2022年7月1日当社調べ・TNFDフォーラム参画企業一覧より参照
※2 環境移送技術:天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐に渡るパラメーターのバランスを取りながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術のこと。2022年、時期をずらしたサンゴの人工産卵に世界で初めて成功。
※3 ネイチャーポジティブ:2030年までに自然の減少を食い止め回復軌道を目指すこと。2021年に開催されたCOP15(国連生物多様性条約第15回締約国会議)やCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)においても、注目されている考え方。
TNFDについて
TNFDは、世界的な脱炭素の世論形成と枠組み作りを牽引してきた「気候関連財務情報開示タスクフォース:TCFD(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures )」の流れを汲み、企業や金融機関などの市場参加者が自然関連のリスクと機会を管理し、情報開示するための枠組みを構築することを目指し、2021年6月に発足した国際的なイニシアティブです。
今回、イノカが参画した「TNFDフォーラム」は、当該タスクフォースにおける情報開示フレームワークの開発作業を支援するステークホルダーの集合体として、自然や金融などに関する専門性を有する企業や団体により構成されるネットワークであり、日本においては環境省をはじめ、各産業を代表する民間企業の参画も進んでいます。
TNFDフォーラム参画の経緯背景
イノカが着目する「サンゴ礁生態系」の価値と危機
イノカは2019年の設立以来、AI /IoTを活用した独自の「環境移送技術」によるサンゴ礁生態系の水槽内での再現に取り組んでおり、サンゴ礁保全のための研究開発を推進してまいりました。2022年2月には、時期をコントロールしたサンゴの人工産卵実験に世界で初めて成功しており、サンゴの研究プラットフォーム化を目指しております。
イノカが先進的に研究を進めるサンゴは、「生物多様性」および「自然資本」という切り口において、とりわけ重要な役割を果たしている生物です。
サンゴ礁(サンゴが形成する地形)は海の表面積の0.2%を占めるに占めるにすぎない一方で、サンゴ礁海域には海洋生物種のうち約25%(約10万種)が生息しています。(出典2)
また、人間の社会生活を支える上で必要な護岸効果や漁場の提供、建築材料や生活の道具の材料といった重要な役割を果たし、近年では医薬品への活用も期待されています。その価値は年間で推定3750億ドル(日本円で約43兆円)以上の経済価値にものぼると言われています。(出典3)
しかしながら、20年後には気候変動に伴う海水温の上昇によりサンゴ礁の70~90%が消滅する可能性が高いと言われており、海の生物多様性やそこからうまれる経済価値を持続可能にしていく上で、サンゴ礁生態系の保全は世界的に喫緊の課題となっています。
イノカがTNFDにおいて貢献を目指す領域について
イノカは、生物多様性のなかでも「海洋生態系」の保全を推進するべく、今回TNFDフォーラムへの参画する運びとなりました。主に下記3点において、TNFDの掲げる情報開示フレームワーク構築に貢献することを目指します。
1. 環境移送技術の応用により、海洋生物に対する評価枠組みの研究開発を推進
環境移送技術は、自然環境を閉鎖系(水槽内)にモデル化して再現することにより、自然界ではデータ収集が困難とされてきた環境データを継続的にモニタリングすることを可能としたことから、企業活動のケースやエリアごとに周辺の水環境をモデル化し、影響等を個別具体的に評価・解析することにより、科学的な定量評価のレポーティングを目指します。
環境移送技術は、人工海水の使用により、再現性の高い標準的な環境構築が可能なことから、海洋環境に対して科学的な評価を行うためのプロトコルの構築も期待されています。
2. サンゴを海洋生物多様性の代替評価指標として扱うための研究開発を推進
イノカが最前線で研究を推進しているサンゴは、上述の通り、1. 約25%(約10万種)もの海洋生物種が生息するインフラ的機能を果たしており、かつ 2. 今後20年の海水温上昇等により大部分が死滅すると予測されるほど環境変化の影響を受けやすい性質を持つことから、サンゴの健康状態を定量的な指標化することや、任意の物質がサンゴに対して与える影響評価は、将来的にサンゴ礁海域の生物多様性の代替指標として機能する可能性があります。
今後、サンゴ保全につながる各種研究を推進すべく、研究機関等とのネットワークを拡大し、サンゴ研究のプラットフォーム化を目指してまいります。
3. 日本が誇る海洋生物多様性領域におけるアントレプレナー育成に向けた発信
日本は世界有数の経済水域を保有する海洋国家であり、また全世界における造礁サンゴ約800種類のうち約450種類が沖縄~鹿児島エリアに分布するなど、世界有数の海洋資源を有しています。海洋から生まれる価値は「ブルーエコノミー」と呼ばれ、日本が世界に誇る資源としての価値が見直されつつあります。(出典 4)
だからこそ、海洋に関するさまざまな領域において、日本からグローバルスタンダードを生み出し、世界を牽引する必要があると考えています。
国内ベンチャー企業として初の参画となるからこそ、生物多様性・海洋生態系領域における日本のアントレプレナー育成のための発信を積極的に行い、生物多様性保全という世界的に重要なディープイシューの解決に取り組む潮流を形成してまいります。
出典
1 New Nature Economy Report II: The Future Of Nature And Business | 世界経済フォーラム
https://jp.weforum.org/reports/new-nature-economy-report-ii-the-future-of-nature-and-business
2 参考資料|サンゴ礁保全の取り組み(環境省)
https://www.env.go.jp/nature/biodic/coralreefs/reference/mokuji.html
3 Coral Reefs | IUCN
https://www.iucn.org/theme/marine-and-polar/get-involved/coral-reefs?fbclid=IwAR2x9LnMAHTRNr2BGmlO364w2ePrkgA_sovBts_cziMI8L4rLdSz88Du6_8
4 日本企業の勝ち筋たる、「ブルーエコノミー」とは(前編)|D-nnovation Perspectives(デロイトトーマツグループ)
https://www2.deloitte.com/jp/ja/blog/d-nnovation-perspectives/2022/utilizing-marine-resources.html
◆株式会社イノカ
イノカは「人と自然が共生する世界をつくる」ことをビジョンに掲げ、国内有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリスト(水棲生物の飼育者)と、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアがタッグを組み、2019年に創業したベンチャー企業です。
「海の見える化」をミッションに掲げ、自然を愛し、好奇心に基づいて飼育研究を行う人々の力と、IoT・AI技術を組み合わせることで、任意の生態系を水槽内に再現する『環境移送技術』の研究開発を推進しています。2022年2月には世界初となるサンゴの人工産卵実験に成功しました。
環境教育プログラム「サンゴ礁ラボ」や、海洋生体に対する影響評価・共同研究を行う「海洋治験サービス」、オフィスやビルエントランスにサンゴ礁生態系水槽を設置する「オフィスブルー事業」など、事業領域を拡大しています。
会社名 株式会社イノカ
代表者 代表取締役CEO 高倉 葉太
設立 2019年4月
所在地 東京都港区虎ノ門3-7-10 ランディック虎ノ門2階
会社HP https://corp.innoqua.jp
お問合せ info@innoqua.jp
企業プレスリリース詳細へ (2022/07/05-09:17)
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