地域の減災・防災につなげようと、青森中央学院大学の中村智行准教授と同大経営法学部の学生が県内各地の「自然災害伝承碑」の調査を開始した。調査は2019年に制定された新しい地図記号「自然災害伝承碑」を国土地理院の地図に載せるのが目的で、フィールドワーク初日の19日は、中村准教授と弘前市出身の同学部2年の学生2人が同市石川にある大仏公園で「洪水の石碑」を調査。今後、調査結果をまとめて市に報告し、「自然災害伝承碑」の登録を目指す。
「自然災害伝承碑」は過去に発生した津波、洪水、火山災害、土砂災害等の自然災害に関わる事柄が記載されている石碑やモニュメントのこと。これまで地図に記載する際は、地図記号がなかったため、概念的に「記念碑」の記号で記載されていた。
19年3月、新たに地図記号として「自然災害伝承碑」が制定されたことから、今後は新たな地図記号で地図に掲載して、かつて自然災害が発生した地域であることを示すことになっている。
一方、今年9月29日現在、「自然災害伝承碑」は全国で1611基が登録されているが、県内は弘前市1基(1975年、土石流)、大鰐町1基(35年、洪水)、五所川原市1基(83年、日本海中部地震)など13基のみ。
登録されている碑が少ない理由について、中村准教授は「自然災害伝承碑のない地域には自然災害自体が存在していない、存在しても認知されていない、認知されていても登録申請されていないなどの要因がある」と指摘する。
今回の調査は、同大経営法学部の減災・防災を考える授業「地域探求アクト」の一環として実施。学生8人が出身地で碑を探し、当時の災害について調査する。現在のハザードマップと照らし合わせて、防災学習にもつなげるほか、登録することで、後世に災害を伝えるという狙いもある。
19日は、中村准教授と弘前市出身の高橋智矢さん(20)、西山一世さん(20)が調査に参加。大仏公園内にある1935年に建てられた石碑を調査した。石碑には同年8月に大雨で平川が氾濫し、周辺地域で最大約4メートルの浸水があったことや、この災害で家屋流出7棟、床上浸水145棟が確認されたこと、家や橋が流されたことなどが記されていた。
【写真説明】石碑を調査する中村准教授(左)と学生たち
自然災害伝承碑の登録目指して学生ら調査 by 陸奥新報 - 陸奥新報
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