変色したノートには、重ねた議論と時間がしみ出しているようだった。
北海道斜里町に住む大瀬昇さん(74)はこの1年、何度もノートを読み返した。町職員として情熱を傾けた地元の自然や環境への取り組みの記録だ。
4年に1度の統一地方選が始まった。地方選挙は我々に何をもたらし、どう生活を変えるのか。人口減少や高齢化で地方自治が危機に立たされるなか、そこに光は見えるのか。答えを探すため、記者が会いたい人たちを訪ねた。
「方向性に間違いはなかったか」「他にとるべき対策はなかったか」
自問自答する日々。でも、答えは見つからない。
昨年4月23日、町内のウトロ漁港から出港した観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した。乗員・乗客26人のうち20人が犠牲となり、6人の行方がわかっていない。
今も調査が続くが、色々なことがわかってきた。
悪天候が予測される中、出港したこと。ハッチからの浸水が沈没の原因となったこと。ハッチのふたに不具合があった可能性があること。浸水で電源を失い、船の無線機が使えなくなったこと。会社の無線アンテナの故障が放置されていたこと。非常連絡用の携帯電話が圏外だったこと。船の検査が不十分だったこと……。
沈没の直接的な原因は運航会社のずさんな運営だったかもしれない。でも、多くの犠牲者が出たのは、現場が知床沖だったことと無関係とは思えなかった。
「みんなで」の意識、希薄になっていないか
出身は、日本海側の泊村だ…
「自然に生かされてきた」知床の人々 ノートを読んで気づいたこと:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル
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