「ここに風車を建てるというのか」
高さ170メートルの風力発電施設がそびえる光景を想像し、圧迫感を覚えた。
小樽市と後志管内余市町の境界の山あいに、大規模な風力発電施設の整備計画が持ち上がったのは2020年4月。発電用の風車26基を建設し、うち小樽市側には20基程度。総出力10万9千キロワットで、29年春から稼働させるという。
市は再生可能エネルギーの導入に前向きで、市内の陸地では既に二つの風力発電施設が稼働。ほかに一つの計画が進む。小樽・余市境界のプロジェクトはこれらを上回る規模となる。
事業者がまとめた1千ページ超の「準備書」を市長自ら読み込んだ。生態系や景観への影響、森林伐採による土砂災害の恐れ―。各課の調べで次々と懸念が浮かんだ。風車が建てば固定資産税が20年間で1基1億円ほど入ると聞いた。単純計算で計約20億円。財政難の市には貴重な財源と言えた。
幹部会議を重ねて得た結論は「建設反対」。市は近く鈴木直道知事に意見書を提出する。「金がどうこうという話ではない」。市長は周囲にそう語った。
意見書は立地市町村が都道府県に出し、都道府県はこれを踏まえた意見を事業者に出す。国は地域の理解を得ることを事業者の努力義務としており、知事意見は大きな意味を持つ。「地域の声を受け止めてくれるか」。2期目に入った知事の対応を迫市長は注視する。
太平洋の波が打ち寄せる音が響く。釧路市音別町の海岸沿い。馬主来(パシクル)沼の西側約5ヘクタールの草地で、太陽光発電計画が進んでいることが5月に報じられると、地元に動揺が広がった。...
<鈴木道政2期目 問われる真価>上 「自然切り売り」再エネ開発反対に直面 脱炭素と環境どう共存:北海道新聞デジタル - 北海道新聞
Read More
No comments:
Post a Comment