圧倒的な透明度に思わず息をのむ。「ボニンブルー」と称される
今年登録30年を迎える屋久島と白神山地以外の国内自然遺産を紹介する「天地人」特別編。今回は東京都心部から南へ1000キロ・メートル離れた「小笠原諸島」を訪れた。2011年、国内で4番目に世界自然遺産に登録された。「ボニン」とは、かつて「
豊かな海に囲まれて一度も大陸と陸続きにならず、動植物が独自に進化したことで、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれる。特にカタツムリなどの陸産貝類やシダなどの植物が高く評価されている。植物では自生種の約5割が固有種だという。
母島の山を登ると「ピーィッ、ピーィッ」と野鳥の鳴き声。すると、人への警戒心がないのか、特別天然記念物のハハジマメグロが目の前わずか1メートルに現れた。雲や霧がかかる湿性高木林には固有種のカタツムリが多く生息する。父島から南西へボートで30分ほどの南島は、サンゴ礁などの隆起と沈降でできた「沈水カルスト地形」で知られ、海鳥などの繁殖地になっている。
固有種の宝庫であるが故に、外来生物が生態系に及ぼす影響も大きい。人間が島に持ち込み野生化した野ネコなどが原因で、国の天然記念物アカガシラカラスバトが、一時絶滅の寸前まで数を減らした。
野ネコを捕獲し本土(都内)に送って飼い主を探す。NPO法人「小笠原自然文化研究所」が中心に世界遺産登録前から取り組んでいる。理事長の堀越和夫さん(67)は「固有種もネコも犠牲にしない」と活動の精神を語る。
動植物との距離の近さが人々を魅了する小笠原の海や島々。「人間によって失われた自然は、人間の手で取り戻す」と話す堀越さんらの努力を思いながら、悠久の自然に包まれた。(写真と文 佐々木紀明・帖地洸平)
小笠原諸島の澄みわたる海、悠久の自然 - 読売新聞オンライン
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