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Friday, December 1, 2023

【農を考える】自然栽培 むしろ本質 JAはくい経済部次長 粟木政明さん:北陸中日新聞Web - 中日新聞

自然栽培に取り組む農協職員。それが希少な立場だと自認する粟木政明さん。その価値共有を図るのが使命という=石川県羽咋市中川町で

自然栽培に取り組む農協職員。それが希少な立場だと自認する粟木政明さん。その価値共有を図るのが使命という=石川県羽咋市中川町で

農薬販売だけでなく 多様な価値観

 有機農業に乗り出すJAが各地で増えつつあるが、化学処理した農薬も肥料も使わない自然栽培の普及に10年以上も前から取り組んでいるJAがある。「自然栽培の聖地」とまで言われる石川県羽咋市のJAはくい。主催する農業塾には全国から受講者が集まる。それほどの知名度を持つブランドを名実共に築いてきた経済部次長の粟木政明さん(54)は自然栽培の価値観共有を広めることが使命という。(中島健二)

 JAといえば農薬や化学肥料を売ることが主要な事業の一つ。それを使わない自然栽培で大丈夫か? なぜやるのか? 初対面で必ずこれを聞かれるが、答えは実に単純明快。

 「当JAの山本好和組合長が以前、テレビ取材でそれを聞かれ明確に答えた。『JAの役割はそこにないから』と。アレルギーなど食の問題が増える中で、そういうことにもJAは貢献すべきだし、地域の農家がそれに貢献できるような事業をしないといけない。それを考えたら、肥料農薬を売るのは事業の一つであってJAの本質ではない」

 その本質に自然栽培が合致した。孤軍奮闘で普及事業を担ってきたが数少ない理解者の山本組合長に鍛えられて踏ん切りがついた。

 「農家に安く資材を販売し、作った農産物を高く売るのがJAの事業だと気付かされた。そう考えると自然栽培は究極。農薬などを使わないから資材費は安いし物は高く売れる。ちゃんと回るようになればJAの事業としてはマルです」

 自然栽培に関わる契機は1冊の本。無農薬リンゴ栽培を実現させた木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」。それに出会うまでは農作業に関わることさえなかった。

 「研修担当の時、若い職員を見てJAの将来のために何かをしたいと考えた。まずは農業を勉強しようと思い本屋で手に取ったのがなぜか『奇跡のリンゴ』だった。感動し涙が出た。その1年後、偶然だが北陸初の木村さんの講演が市内で企画され、農協職員は絶対聞かないといけない、職員が幸せになるための研修会だと全員を参加させた」

 これで人生が変わった。木村さんの話を実践する人をここから全国に出そう-との話になり2010年12月、木村秋則自然栽培実践塾をJA主催で開始。3年後に練り直し「のと里山農業塾」に改編して11年目になるが、ここに至るまでどん底の時期があった。

 「いろいろ言われた。経営が成り立つのか、とか。すぐにはちゃんと売れないから栽培農家さんにも応えられない。死にそうになるほどつらかったが家族とのつながりが救ってくれた。家族の関係はバランスが大事。食も人もバランスだと気付いた。それまでは農薬も肥料もだめで自然栽培だけがいいと決め付けていたが、そうじゃないんだと」

 取り組みが軌道に乗り出した。市との関係でも寄り添う姿勢で臨むことで、市内の道の駅で自然栽培米を売ることになり、ふるさと納税の返礼品にもつながって“自然栽培の羽咋”が一気に知れ渡った。

 「農薬肥料が悪いと言うだけだと話し合いが始まらない。多様な栽培法、多様な価値観を認めながら、未来の子どもたちのことを考えた時の自然栽培の意味を問いかけたい。その価値をみんなで共有していくのが私の役割だと考えている」

【プロフィール】あわき・まさあき 石川県志賀町出身。米農家に育ち、JAはくいでは金融、総務を経て経済部。のと里山農業塾の事務局を担当、自然栽培の担い手を広げ普及につなげている。


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