昆虫の生態や体のつくりをつぶさに観察し、全10巻の「昆虫記」にまとめたフランスの博物学者アンリ・ファーブル。自然を愛し、自然に学ぶファーブルの精神を現代に伝えるのが、東京都文京区にあるファーブル昆虫館「虫の詩人の館」だ。(共同通信=高田麻美)
同館は大の虫好きで「昆虫記」の翻訳も手がけたフランス文学者奥本大三郎館長が中心となって、2006年にオープン。膨大な数の昆虫標本を保管、展示し、子どもたちが虫について学べる場を提供している。
1階の展示室には、色も大きさもさまざまなチョウやトンボ、カブトムシなどの標本が並ぶ。季節ごとに生きた昆虫を展示するコーナーでは、虫の状態が良ければ、スタッフの指導を受けながら触ることもできる。奥本館長は「実物を見て、触ることが何よりの勉強になります」と話す。
3階の集会室では、標本作り教室(有料、要事前申し込み)などを定期的に開催。昆虫針や、チョウの羽を広げて固定する展翅(てんし)テープといった用具の扱い方から丁寧に説明し、小学生でもきれいな標本が作れるという。
地下1階では、図鑑を見て、標本箱に並んだ昆虫の種類を当てるクイズに挑戦できる。ファーブルが生まれ育った19世紀のフランス南部サンレオン村の家を再現したコーナーもあり、当時の暮らしぶりがうかがえる。
1823年生まれのファーブルは、貧しい生活の中で勉強を続け、20代後半から本格的に博物学の研究に打ち込んだ。79~1907年に刊行した「昆虫記」は、世界中で高く評価されている。
【推測に頼らず実験、観察】
ファーブルは研究の際、安易な推測に頼らず、実験や観察を繰り返して事実を確かめることを大事にしたという。代表的な成果の一つが「昆虫記」にも登場する狩人バチの研究だ。
狩人バチの仲間は、他の虫を捕まえて巣に運び入れ、幼虫のえさにする習性を持つ。それまでの研究では、親バチが死んだ獲物に防腐剤のような成分を注入することで、幼虫が育つまで新鮮な状態を保っていると考えられていた。
この説に疑問を持ったファーブルは、独自に獲物となった虫を観察。動かなくなった虫がふんをすることから、生きたまま毒針でまひさせられていることを突き止めた。
【ようこそ!偉人館へ】ファーブル昆虫館 自然を愛し、自然に学ぶ|秋田魁新報電子版 - 秋田魁新報電子版
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